薬剤師国家試験 第104回 問310-311 過去問解説

 問 題     

58歳男性。肺がん、ステージⅣ。強い疼痛を訴えていたため、アセトアミノフェン錠とフェンタニル経皮吸収型貼付剤が投与されていた。患者の希望で緩和ケア病棟に1週間前に入院となった。腎機能は、直近のデータでCcr 20mL/minである。

入院後、疼痛コントロールが不良になったため、フェンタニル経皮吸収型貼付剤の増量が行われたが、痛みに対する効果が改善されなかった。

問310

この患者の担当薬剤師が医師に処方提案する内容として適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. オキシコドン徐放錠への変更
  2. コデインリン酸塩散への変更
  3. プレガバリン口腔内崩壊錠への変更
  4. モルヒネ硫酸塩徐放錠への変更
  5. モルヒネ塩酸塩坐薬への変更

問311

薬剤師が病室を出ようとしたところ、患者が「もう早く死んでしまいたい。家族にも迷惑をかけるし、何とかしてください。」と涙ながらに訴えた。薬剤師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 「そんなことを言わずに頑張ってください!」と激励する。
  2. 言われたことは誰にも伝えず、自分の心の中にしまっておく。
  3. 患者の訴えを医療スタッフと共有する。
  4. 突然の訴えに驚き、病室から立ち去る。
  5. 患者の話を共感しながら傾聴する。

 

 

 

 

 

正解.
問310:1
問311:3, 5

 解 説     

問310

がん疼痛治療は、WHO 三段階除痛ラダーに沿った治療が行われます。 フェンタニルは第三段階です。代表薬はモルヒネですが、腎機能の低下から、フェンタニルが使用されていると考えられます。選択肢の中で、第三段階の代替薬はオキシコドンのみです。腎機能低下患者にも用いられます。

以上より、問310 の正解は 1 です。

問311

がん緩和ケアにおける、精神的ケアの前提として、患者の気持ちに焦点を当てた共感的コミュニケーションがあげられます。

選択肢 1 ですが
「死にたい、つらい」という思い の訴え を、「そんなことを言わずに」という表現で返すのは、訴えが伝わっていないと感じられるなどの点から、適切ではないと考えられます。

選択肢 2 ですが
患者ケアは病棟全体で行うものです。「死にたい、つらい」という思い を訴えていた、という事実を共有すべきと考えられます。また、自身のみで抱え込むことは、心理的重圧につながりかねない点からも、医療スタッフとの共有が望ましいと考えられます。

選択肢 3 は妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
訴えに対し、驚いて立ち去ってしまうと「こんな対応をとられるなら、言わなければよかった」という思いを抱かせてしまうと考えられます。また、患者の気持ちに焦点を当て、共感するという前提から見ても不適切な対応と思われます。

選択肢 5 は妥当な記述です。
具体的には、「病室を出かけだった」ということなので、振り返り、近づき、目を合わせた上で「人に迷惑かけてまで生きていたくない、という気持ちなんですね。おつらい気持ち、本当にお察しします。」といった表現で声をかける、といった流れが考えられます。

以上より、問311 の正解は 3,5 です。

コメント