薬剤師国家試験 第104回 問168 過去問解説

 問 題     

体内動態が線形1-コンパートメントモデルに従う薬物の経口投与に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。なお、ka 及び kel は、それぞれ吸収速度定数及び消失速度定数を表し、tは投与後の時間を表す。

  1. バイオアベイラビリティが一定であるとき、最高血中濃度は投与量の平方根に比例する。
  2. 最高血中濃度到達時間は投与量に依存しない。
  3. 血中濃度時間曲線下面積(AUC)はkaに比例する。
  4. 血中濃度は、(A:濃度の単位で表される定数)で表される。
  5. ka ≫ kelのとき、血中濃度推移の消失相から得られる消失半減期は ln2/kel で表される。

 

 

 

 

 

正解.2, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
最高血中濃度 (Cmax)は「投与量に比例」します。「投与量の平方根に比例」ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当な記述です。

選択肢 3 ですが
ka は吸収速度定数です。ka が 2 倍になれば Cmax がぐっと上がると考えられます。
血中濃度の推移をものすごく単純に三角形で考えると、高さが2倍になったとして、消失速度定数が変わってないなら、底辺も2倍になります。すると AUC は4倍になります。単純に ka と比例するわけではないと判断できるのではないでしょうか。

選択肢 4 ですが
t = 0 代入すると 2A となり、A = 0 でないと成立しない式です。A = 0 とすると、いつも血中濃度 0 となって、それはおかしいです。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当な記述です。
吸収半減期は ln2/ka で与えられます。ここで、文頭の ka >> kel が重要です。徐放性製剤などで ka << kel の場合は、ka,kel が逆になります。これを flip – flop 現象と呼びます。

以上より、正解は 2,5 です。

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