薬剤師国家試験 第104回 問162 過去問解説

 問 題     

抗真菌薬の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. アムホテリシンBは、真菌の細胞膜成分であるエルゴステロールと結合することで細胞膜の機能障害を起こす。
  2. テルビナフィンは、1,3-β-グルカン合成を阻害することで細胞壁の合成を抑制する。
  3. フルコナゾールは、真菌細胞内のスクアレンエポキシダーゼを選択的に阻害することで真菌細胞膜の合成を抑制する。
  4. フルシトシンは、真菌細胞内に選択的に取り込まれた後、脱アミノ化されて5-フルオロウラシルとなり、核酸合成を阻害する。
  5. ミカファンギンは、ラノステロールC-14脱メチル化酵素を阻害することで真菌細胞膜の合成を抑制する。

 

 

 

 

 

正解.1, 4

 解 説     

選択肢 1 は妥当な記述です。
アムホテリシン B は、ポリエン系抗生物質です。真菌細胞膜の構成成分であるエルゴステロールと結合し、小孔を作り、機能障害を起こします。

選択肢 2 ですが
テルビナフィンは、スクアレンエポキシダーゼ選択的阻害薬です。細胞膜構成成分であるエルゴステロールの生合成を阻害し、抗真菌作用を示します。「1,3 – β – グルカン合成阻害による、細胞壁合成抑制」ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
フルコナゾールは、アゾール系抗真菌薬です。スクアレンエポキシダーゼ阻害薬ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
ミカファンギンは、キャンディン系抗生物質です。1,3-β-D-グルカンの合成を非競合的に阻害することにより、抗真菌作用を示します。記述はアゾール系の作用機序です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,4 です。
類題 98-39

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