薬剤師国家試験 第104回 問159 過去問解説

 問 題     

成長ホルモン(GH)関連薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ブロモクリプチンは、下垂体のGH産生細胞に作用し、GHの産生・分泌を促進する。
  2. ペグビソマントは、GH受容体を選択的に遮断し、インスリン様成長因子-1(IGF-1)の産生を抑制する。
  3. メカセルミンは、下垂体のソマトスタチン受容体を刺激し、GHや甲状腺刺激ホルモン(TSH)の産生・分泌を抑制する。
  4. ソマトロピンは、IGF-1の産生を誘導し、軟骨内骨形成を促進する。
  5. オクトレオチドは、下垂体のドパミンD2受容体を刺激し、GHやプロラクチンの産生・分泌を抑制する。

 

 

 

 

 

正解.2, 4

 解 説     

選択肢 1 ですが
ブロモクリプチンは D2 受容体刺激薬です。D2 受容体刺激により、プロラクチンと呼ばれるホルモンの分泌が抑制されます。この薬の適応は、高プロラクチン血症です。記述は「ソマトレリン」についてと考えられます。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当な記述です。
ペグビソマント(ソマバート)は、GH 受容体拮抗薬です。先端巨大症における IGF-I(ソマトメジン-C)分泌過剰状態及び諸症状の改善に用いられます。

選択肢 3 ですが
メカセルミン(ソマゾン)は、ソマトメジン C 製剤です。ソマトメジン C とは、インスリン様成長因子1(IGF -1)の別名です。インスリンと分子構造が類似したホルモンです。小児の成長に重要な役割を果たします。成人では同化作用があります。「ソマトスタチン受容体」を刺激し、成長ホルモンの産生・分泌を抑制するわけではありません。ちなみに「ソマトスタチン」は、成長ホルモンなどの分泌を「抑制」するペプチドホルモンの一種です。

選択肢 4 は妥当な記述です。
ソマトロピンは、遺伝子組み換え天然型ヒト成長ホルモン製剤です。

選択肢 5 ですが
オクトレオチドは、持続性ソマトスタチン誘導体です。D2 刺激ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,4 です。

参考)薬理学まとめ ホルモンの分泌異常に用いられる代表的な治療薬

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