薬剤師国家試験 第104回 問150 過去問解説

 問 題     

医学研究に関する記述のうち、ヘルシンキ宣言に照らして、正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. 人間を対象とする医学研究において、公共の利益のために、個々の研究対象となる患者の福祉を犠牲にすることは許容される。
  2. 治療行為を伴う医学研究においては、研究対象となる患者のリスク及び負担をゼロにしなければならない。
  3. 人間を対象とする医学研究は、適切な倫理的及び科学的教育と訓練を受けた者によって行わなければならない。
  4. 研究計画書には、独立性を確保するため資金提供者に関する情報を記載してはならない。
  5. 同意の諾否を自ら行うことができない人は、医学研究の研究対象に含めてはならない。

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

ヘルシンキ宣言は、臨床試験に関する国際倫理規範です。被験者であるヒトを、守るための倫理的原則について宣言したものであるといえます。

選択肢 1 ですが
公共の利益のためとはいえ、個々の患者の福祉が犠牲となることは許容されません。よって、選択肢 1 は誤りです。

参考)一般原則8
医学研究の主な目的は新しい知識を得ることであるが、この目標は個々の被験者の権利および利益に優先することがあってはならない。

選択肢 2 ですが
研究によって生じるリスクを「最小化」させるための措置を講じること と宣言で述べられています。リスク「ゼロ」は現実的には不可能です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
研究計画書に資金提供等についても記載されるべきである と宣言で述べられています。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
法定代理人による同意などの方法が宣言で述べられています。※本人の意思を最大限尊重することは言うまでもありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。
類題 100-80

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