問 題
マウスの肝臓から酵素Xの精製を試みた。以下に実験手順の概要(①~④)を示す。
① ゲル濾過クロマトグラフィーにより肝臓抽出液Aを分画した。
② 各画分の酵素Xの活性を測定し、その活性が高い画分を集めたものをBとした。
③ Bを陰イオン交換クロマトグラフィーにより分画した。
④ 各画分の酵素Xの活性を測定し、その活性が高い画分を集めたものをCとした。
上記A、B及びCの液量、タンパク質濃度、全タンパク質量と酵素活性(全活性及び比活性)を以下の表に示した。比活性とは、試料中のタンパク質の単位重量当たりの酵素活性のことである。なお、酵素活性における1U(ユニット)は、1分間当たり、1μmolの生成物を生成する酵素の量を表す。
実験方法及び結果に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- A中の酵素Xの20%がBに回収されたと考えられる。
- ゲル濾過クロマトグラフィーでは、分子量の小さなタンパク質ほど、早くカラムから溶出される。
- 陰イオン交換クロマトグラフィーでは、正の電荷をもった樹脂に酵素Xが保持されたと考えられる。
- Bの比活性アはAの比活性よりも高い。
- Cの比活性イは140U/mgである。
解 説
肝臓抽出液 A に色んな酵素が入っている。酵素 X も入っている。→かなり精製したのが B →もっと精製したのが C という内容です。
選択肢 1 ですが
全活性に注目します。10000 → 8000 になっているため、酵素 X は 20% 失われ、80% が回収されています。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
ゲルろ過クロマトグラフィーでは、分子量が大きい方が早く溶出されます。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当な記述です。
選択肢 4 は妥当な記述です。
単位に注目すれば、比活性は「全活性÷全タンパク質量」で求めていると読み取れます。 B の比活性は 8000 ÷ 40 = 200 です。
選択肢 5 ですが
C の比活性は 7000 ÷ 5.00 = 1400 です。140 ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3,4 です。
コメント