薬剤師国家試験 第104回 問26 過去問解説

 問 題     

アゴニストの用量-反応曲線が低用量側にあるほど値が大きいのはどれか。1つ選べ。

  1. ED50
  2. LD50
  3. KD
  4. pA2
  5. pD2

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

選択肢 1,2 ですが
試験動物や試験細胞の半数に目的の薬理作用が現れる用量を50%有効量と呼びます。ED50(effective dose 50%)と表します。「目的の薬理作用」が「死亡」である時を特に LD50(lethal dose 50%)と表します。これらの値は、用量ー反応曲線が低用量側にあれば、値が小さくなります。よって、選択肢 1,2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
KD は解離定数です。AB ⇄ A + B の平衡定数です。[A][B]/[AB]です。用量ー反応曲線が低用量側にあるのであれば、低濃度で十分結合すると考えられます。ABが「薬物ー受容体」、Aが薬物、Bが受容体と考えれば、ちょうど B の50%が薬物と結合している時、[AB] = 0.5[B] なので、代入すれば KD = 2[A] です。「用量ー反応曲線が低用量側」=「低濃度で十分結合」なので、50% 結合時点での[A]が小さいと考えられます。すると KD も小さくなります。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
pA2 は競合的拮抗薬の効力を表します。具体的には「作動薬の用量-反応曲線を 2 倍高濃度側に平行移動させるのに要する、競合的拮抗薬のモル濃度の、負の対数値」です。本問の「アゴニストの用量ー反応曲線が低用量側」にあるとは、「アゴニストと受容体の親和性が高い」と解釈できます。

すると、用量ー反応曲線を高濃度側に平行移動させるためには、競合的拮抗薬のモル濃度はより大きい必要があります。(イメージとしては、すぐくっついちゃう2人を引き離すためには、相当多くの人が必要、というイメージです。)ーlog( ) の、( )の部分が大きくなると、全体の値は小さくなります。

具体的に考えると、ーlog1010 と、ーlog10100 は、それぞれ-1,-2となります。( )の中身が大きいほうが、小さい値になっていることがわかるのではないでしょうか。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
pD2 = -log(ED50) です。この定義は基礎知識です。これにより ED50 が小さいほど、pD2 は大きくなります。選択肢 1,2 の解説で触れたように、用量ー反応曲線が低用量側にあれば、ED50 は値が小さくなります。つまり、pD2 は大きくなります。

以上より、正解は 5 です。

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