103回薬剤師国家試験 問310-311解説

 問 題     

75歳男性。パーキンソン病が進行し、レボドパ製剤に加えてセレギリン塩酸塩錠が併用されることとなった。この医療機関では、併用することとなったセレギリン塩酸塩錠は初めての採用である。

薬剤師は、この患者に対して非運動症状(うつ症状、頻尿、便秘、睡眠障害など)の改善のために同時に処方される可能性がある薬剤の併用の可否及び薬剤の取扱いについて確認した。

問310

次の薬剤のうち、この男性に併用できないのはどれか。2つ選べ。

  1. アミトリプチリン塩酸塩
  2. フラボキサート塩酸塩
  3. ピコスルファートナトリウム
  4. フルボキサミンマレイン酸塩
  5. トリアゾラム

問311

セレギリン塩酸塩錠の取扱いとして正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 厚生労働大臣の指定を受けた向精神薬卸売業者から購入する必要がある。
  2. かぎをかけた場所に保管しなければならない。
  3. 麻薬を保管している金庫に保管してもよい。
  4. 廃棄したときは、30日以内に都道府県知事に届け出なければならない。
  5. 盗難や紛失があったときには、すみやかに都道府県知事に届け出なければならない。

 

 

 

 

 

正解.
問310:1, 4
問311:2, 5

 解 説     

問310

選択肢 1 は、正しい記述です。
アミトリプチリンは、三環系抗うつ剤です。三環系抗うつ剤とセレギリンは併用禁忌です。詳細は不明ですが、作用増強、種々の副作用がおきることがあります。

選択肢 2 ですが
フラボキサートは頻尿治療薬です。平滑筋細胞内への Ca2+ 流入阻害作用及び、ホスホジエステラーゼ阻害作用があります。セレギリンとの併用は可能です。

選択肢 3 ですが
ピコスルファートナトリウムは便秘薬です。大腸刺激性下剤です。セレギリンとの併用は可能です。

選択肢 4 は、正しい記述です。
フルボキサミンマレイン酸塩は、SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)です。セロトニンの再取り込みを選択的に阻害する薬です。フルボキサミンとセレギリンは併用禁忌です。脳内セロトニン濃度の上昇により、作用増強、種々の副作用がおきることがあると考えられています。

選択肢 5 ですが
トリアゾラムは、不眠症に用いられる Bz 系睡眠導入剤です。セレギリンとの併用は可能です。

以上より、問310 の正解は 1,4 です。

問311

セレギリン塩酸塩は、覚せい剤原料という区分です。保管はかぎをかけた場所に行います。麻薬保管庫と一緒に保管はできません。

廃棄は、県知事に届け出て、職員立会いのもと行います。薬局間での譲渡はだめです。盗難等が起きたら、速やかに県知事に報告が必要です。

以上より、正解は 2,5 です。

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