薬剤師国家試験 第103回 問182 過去問解説

 問 題     

65歳女性。脳血管疾患の既往無し。数年前より軽度認知障害があり、CT検査で大脳皮質の萎縮が認められ、アルツハイマー病と診断された。下記の処方で服薬は正しくなされていた。

最近、見当識障害や判断能力が悪化し、日常生活に介助が必要となることが多くなったため、心配した家族に同伴されて病院を受診した。

本患者の今後の薬物治療方針として正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ドネペジル塩酸塩の増量
  2. リバスチグミンの併用
  3. ガランタミン臭化水素酸塩の併用
  4. メマンチン塩酸塩の併用
  5. メチルフェニデート塩酸塩の併用

 

 

 

 

 

正解.1, 4

 解 説     

選択肢 1 は、正しい記述です。
ドネペジルは、まず副作用回避の目的で 3mg から投与しますが、その後 5mg に増加し、さらに 10mg まで増量できます。最近悪化している傾向が見られるため妥当な方針といえます。

選択肢 2,3 ですが
リバスチグミンは、商品名イクセロンパッチのことです。ガランタミンは、レミニールのことです。共に、ドネペジルと同じ機序であるAchE 阻害剤です。AchE阻害剤は、併用では用いられません。よって、選択肢 2,3 は誤りです。

選択肢 4 は、正しい記述です。
メマンチン(メマリー)は、NMDA 受容体遮断薬です。中等度から高度アルツハイマー型認知症の適用をもつ薬剤です。ドネペジルと併用が可能です。

選択肢 5 ですが
メチルフェニデート(リタリン、コンサータ)は、ナルコレプシー(病的眠気)や注意欠陥/多動性障害(ADHD)に用いられる薬です。

以上より、正解は 1,4 です。
類題 99-256

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