薬剤師国家試験 第99回 問256-257 過去問解説

 問 題     

80歳女性。軽度のアルツハイマー型認知症と診断され、ドネペジル塩酸塩(5mg/日)で内服治療を続けてきた。認知症が進行し、10mg/日に増量しても効果が認められなかった。そのため医師より中等度から高度アルツハイマー型認知症の適応をもつ併用可能な薬剤の相談を受けた。

問256

推奨すべき薬剤の成分はどれか。1つ選べ。

  1. ガランタミン臭化水素酸塩
  2. リバスチグミン
  3. メチルフェニデート塩酸塩
  4. メマンチン塩酸塩
  5. アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物

問257

前問で推奨された成分の作用機序として、正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. 脳エネルギー代謝の賦活
  2. アセチルコリンエステラーゼの可逆的阻害
  3. ニコチン性アセチルコリン受容体の刺激
  4. グルタミン酸NMDA受容体の非競合的遮断
  5. ブチリルコリンエステラーゼの可逆的阻害

 

 

 

 

 

正解.
問256:4
問257:4

 解 説     

問256

中等度から高度アルツハイマー型認知症の適用をもつ薬剤はメマンチン(メマリー)です。

以上より、正解は 4 です。

ちなみに、選択肢 1 ですが
ガランタミン(レミニール)は、軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症に用いられる薬です。

選択肢 2 ですが
リバスチグミン(イクセロン、リバスタッチ)は、経皮吸収型のアルツハイマー病治療薬です。軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症に用いられる薬です。

選択肢 3 ですが
メチルフェニデート(リタリン、コンサータ)は、ナルコレプシー(病的眠気)や注意欠陥/多動性障害(ADHD)に用いられる薬です。

選択肢 5 ですが
アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物(アデホスなど)はめまいなどに用いられる薬です。

問257

メマンチンの作用機序は、グルタミン酸 NMDA 受容体の非競合的遮断です。

以上より、正解は 4 です。

ちなみに、本問患者が服用していたドネペジルの作用機序は、選択肢 2 のアセチルコリンエステラーゼの可逆的阻害です。

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