薬剤師国家試験 第102回 問260-261 過去問解説

 問 題     

38歳男性。急性リンパ性白血病と診断され、以下の化学療法が開始された。

問260

上記化学療法に対して、支持療法が必要である。支持療法として使用する薬物として優先順位が最も低いのはどれか。1つ選べ。

  1. フィルグラスチム
  2. グラニセトロン
  3. アロプリノール
  4. ピタバスタチン
  5. メロペネム

問261

前問の支持療法に用いる薬物の作用機序で、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 尿酸トランスポーターを阻害する。
  2. DNAをアルキル化し、DNA合成を阻害する。
  3. セロトニン5-HT3受容体を遮断する。
  4. G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)受容体を刺激する。
  5. PPARγ(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ)を阻害する。

 

 

 

 

 

正解.
問260:4
問261:3, 4

 解 説     

問260

急性リンパ性白血病(ALL)に対し、化学療法が行われています。支持療法とは、抗がん剤の副作用を予防、軽減するための治療です。具体的には、白血球細胞を増やす薬の投与、吐き気どめの投与、予防、治療のための抗菌薬の投与、腫瘍が崩壊することにより高尿酸血症になることを防ぐために投与されるアロプリノールやラスブリカーゼの使用 等の処置のことです。

選択肢 1 ですが
フィルグラスチムは、G-CSF 製剤です。白血球等を増やす効果があります。

選択肢 2 ですが
グラニセトロンは、吐き気どめです。

選択肢 3 ですが
アロプリノールは、XO 阻害薬です。

選択肢 4 ですが
ピタバスタチンは、スタチン系です。コレステロールを低下させます。

選択肢 5 ですが
メロペネムは、カルバペネム系抗菌薬です。β-ラクタム系の一種です。細胞壁合成阻害薬です。これらの中では、スタチンが最も優先順位が低いと考えられます。

よって、問260 の正解は 4 です。

問261

選択肢 1 ですが
尿酸トランスポーターを阻害するのは、プロベネシドやベンズブロマロンです。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
アルキル化剤は、支持療法ではなく、メインの抗がん治療薬の作用機序です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、正しい記述です。
グラニセトロンの作用機序です。

選択肢 4 は、正しい記述です。
フィルグラスチムの作用機序です。

選択肢 5 ですが
PPARγ の「活性化」 or 「刺激」 であれば、ピオグリタゾン等についての記述であると考えられます。支持療法に用いる薬物の作用機序としては不適切であると考えられます。

以上より、正解は 3,4 です。

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