102回薬剤師国家試験 問212-213解説

 問 題     

70歳女性。下記の生薬を含む漢方エキス細粒(釣藤散)の処方箋を持って薬局に来局した。なお、処方量は常用量である。

問212

この漢方処方から考えられる患者の症状又は疾患はどれか。2つ選べ。

  1. 頭痛
  2. インフルエンザ
  3. 高血圧
  4. アトピー性皮膚炎
  5. 便秘

問213

釣藤散の構成生薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. チョウトウコウは、アルカロイドであるヒルスチンを含有する。
  2. セッコウは、天然の含水硫酸カルシウムである。
  3. ショウキョウは、辛味成分であるリモニンを含有する。
  4. ボウフウは、フラボノイドであるアコニチンを含有する。
  5. カンゾウは、ジテルペンサポニンであるグリチルリチン酸を含有する。

 

 

 

 

 

正解.
問212:1, 3
問213:1, 2

 解 説     

問212

釣藤散なので、高血圧、頭痛などが考えられます。選択肢の中から選ぶとすれば1,3です。

ちなみに、選択肢 2 ですが
インフルエンザといえば麻黄湯です。ただし、漢方薬はあくまでもその人の証に着目することで処方を決めます。そのため、同じインフルエンザでも麻黄湯を用いるべき場合と使うべきでない場合がある点に注意が必要です。

選択肢 4,5 ですが
アトピー性皮膚炎や便秘に対して、症状のみからこれだという代表的処方は特にありません。

以上より、正解は 1,3 と考えられます。

問213

選択肢 1,2 は、正しい選択肢です。

選択肢 3 ですが
ショウキョウは、漢字で書くと生姜です。ショウガ、ジンジャーとして知られています。有効成分は、ジンゲノール、ショウガオールなどです。

ちなみに、リモニンは柑橘類に含まれる「苦味成分」の一種です。辛味成分では、ありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
アコニチンは、アルカロイド系(窒素含有物ということ)の猛毒です。ちなみにフラボノイドとは、ベンゼン環 2 個を、3 個の炭素でつないだジフェニルプロパン構造を有する化合物の総称です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
カンゾウの有効成分は、サポニンの一種であるグリチルリチンなどです。サポニンとは、トリテルペン 及びステロイド配糖体の総称です。従って「ジテルペン」ではありません。

以上より、正解は 1,2 です。

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