薬剤師国家試験 第101回 問168 過去問解説

 問 題     

薬物 A 10mg を静脈内投与した後の血中濃度時間曲線下面積 (AUC) は 250 μg・h/L であり、尿中に未変化体として 5mg が排泄された。また、10mg を経口投与した後の AUC は 45μg・h/L であり、糞便中に未変化体として 2mg が排泄された。薬物 A の小腸利用率 (小腸アベイラビリティ) として適切なのはどれか。1 つ選べ。

ただし、薬物 A の消化管管腔中での代謝・分解は無く、静脈内投与後は肝代謝と腎排泄によってのみ消失し、消化管管腔中への分泌、胆汁中排泄は無いものとする。また、薬物Aの体内動態には線形性が成り立つものとし、肝血流速度は 80 L/h とする。

  1. 0.04
  2. 0.2
  3. 0.3
  4. 0.6
  5. 0.9

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

薬物を 10mg 静注すると AUC が 250 ug・h/L だったのに、経口で 10mg 摂取すると AUC が 45 ug・h/L だった →「経口では、10mg のうち、一部しか血流に入っていない。 」とわかります。10mg 経口摂取して x mg 血流に入ったとすると、AUC が 45 ug・h/L だったのだから、10 : 250 = x : 45 と考えられるので、x = 1.8 です。

一方「CLtot = D/AUC (これは、公式)」単位を合わせて 10 mg = 10 × 1000 μg として、CLtot = 10 × 1000 / 250  = 40 L/h です。

また本問では、薬物消失が肝代謝と腎排出だけとあり かつ、10 mg 静注した時に腎排出が半分の 5 mg つまり半分が腎によるクリアランスだから、CL腎 = CL 肝 = 20 L/h とわかります。

後は肝血流速度が与えられているので「CL肝=肝抽出率 × 肝血流 (公式)」 より、20 = 肝抽出率 × 80 だから肝抽出率は、1/4 です。

さて、経口投与した時の薬物は 10mg 投与 → 2mg は、そのまま糞便へ。これは吸収すらされていません。そして 8mg のうち、ある程度が「小腸を通過(小腸利用率 を掛ける)」→「肝初回通過をクリア(1-肝抽出率 を掛ける)」→「血中へ(これが、1.8 mg)」 という関係です。

以上より
8 × (小腸利用率) × (1-1/4) = 1.8 です。小腸利用率は 0.3 です。

正解は 3 です。

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