問 題
陽イオン交換クロマトグラフィーによるアミノ酸の分析に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 陽イオン交換基としては、スルホ基や、カルボキシ基などが用いられる。
- アルギニン、グルタミン酸、グリシンの分離を行ったとき、アルギニンが最初に溶出される。
- 移動相のイオン強度を低下させることで、保持された物質を溶出させることができる。
- 移動相のpHを上昇させることで、保持された物質を溶出させることができる。
- 溶出されたアミノ酸は、ニンヒドリン試薬を用いたポストカラム誘導体化法により、蛍光検出される。
解 説
選択肢 1 は、その通りの選択肢です。
選択肢 2 ですが
これは、アミノ酸の側鎖を覚えている必要があります。参考)(生化学まとめ アミノ酸の構造、性質)。アルギニンは、NH2 がいっぱいです。グルタミン酸が、COOH がいっぱいです。グリシンは、単純なアミノ酸です。
アミノ酸の側鎖が+電荷を持っていれば、樹脂と吸着していられます。+電荷を持つのは、アミノ酸の中の「NH3+」の部分なので、NH2 が多いアルギニンは樹脂にがっちり吸着されます。つまり、アルギニンから溶出されるわけではないと考えられます。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
移動相のイオン強度は、どんどん強くします。移動相の+電荷が強くなることで樹脂に吸着している物質を吸着する力が弱い方から順々に剥がしていくイメージです。
これを、はじめイオン強度を強くして、だんだん弱くしてしまうとはじめに流した移動相によって吸着していた物質が、全部一気に流れ出てきてしまいます。それでは、物質の分離ができません。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、正しい選択肢です。
pH が大きくなると、周囲が塩基性になる ということです。塩基性とは「電子を与える環境」と考える か「水素を奪う環境」と考えると、アミノ酸の側鎖の NH3+ → NH2 になります。すると樹脂に吸着していられなくなるため、保持物質を溶出できます。
選択肢 5 ですが
ポストカラム誘導体化法では、ニンヒドリンか、o – フタルアルデヒドが用いられます。ニンヒドリンによる誘導体化の場合は可視吸光で検出します。o – フタルアルデヒドによる誘導体化の場合は蛍光で検出します。よって、試薬と検出法が対応しておらず選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。
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