薬剤師国家試験 第101回 問59 過去問解説

 問 題     

中枢性尿崩症の病態について、正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. オキシトシンの分泌が低下する。
  2. 尿浸透圧が上昇する。
  3. バソプレシンの分泌が低下する。
  4. 近位曲尿細管が障害される。
  5. 血清Na値が低下する。

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

中枢性尿崩症とは、バソプレシン分泌障害です。バソプレシンは抗利尿ホルモンです。尿が出るのを抑えるホルモンです。このホルモンが、少なくなるため尿が抑えられず、どんどん堰が崩れたように尿が出る、という疾患です。よって、正解は 3 です。

ちなみに、選択肢 1 ですが
オキシトシンとは、下垂体後葉から分泌されるホルモンです。バソプレシンと類似した構造を持つホルモンです。出産や母乳生成に関与するホルモンです。

選択肢 2 ですが
バソプレシンによって、尿の再吸収が促進され、利尿を抑えます。再吸収により、血中の水分が減少しますので尿浸透圧は上昇します。中枢性尿崩症はバソプレシンの分泌障害なので、再吸収が抑制されその結果、尿浸透圧は減少すると考えられます。

選択肢 4 ですが
バソプレシンの作用点は尿細管における集合管です。近位尿細管では、ありません。

選択肢 5 ですが
バソプレシンの作用機序は、集合管において、アクアポリンという水を通過させるチャネルを介して水の透過性を高めるというものです。中枢性尿崩症では、バソプレシン分泌が低下するのでわずかしか、水が血液側に戻らなくなります。その結果血液が濃縮されるため、Na 値は増加すると考えられます。

類題 104-292293
参考 病態・薬物治療学まとめ 尿崩症の病態生理、治療薬、注意点

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