薬剤師国家試験 第100回 問256-257 過去問解説

 問 題     

55歳女性。気管支ぜん息のため吸入ステロイド薬を用いて治療中である。高血圧症となったため、降圧薬も用いることとなった。

問256

この患者に対して禁忌である薬剤はどれか。1つ選べ。

  1. シルニジピン錠
  2. イミダプリル塩酸塩錠
  3. テルミサルタン錠
  4. クロニジン塩酸塩錠
  5. カルテオロール塩酸塩徐放性カプセル

問257

前問の薬剤のうち、血管平滑筋細胞に直接作用して血管を拡張させるのはどれか。2つ選べ。

  1. シルニジピン錠
  2. イミダプリル塩酸塩錠
  3. テルミサルタン錠
  4. クロニジン塩酸塩錠
  5. カルテオロール塩酸塩徐放性カプセル

 

 

 

 

 

正解.
問256:5
問257:1, 3

 解 説     

問256

選択肢 5 ですが
カルテオロールは、β遮断薬です。ぜん息患者には、禁忌です。

以上より、正解は 5 です。

ちなみに
シルニジピン(アテレック®)は、Ca 拮抗薬です。
イミダプリル(タナトリル®)は、ACE 阻害薬です。
テルミサルタン(ミカルディス®)は、AT 受容体拮抗薬です。
クロニジン(カタプレス®)は、α2 受容体刺激薬です。

どれも降圧薬として用いられる薬です。

問257

選択肢 1 は、正しい選択肢です。
シルニジピンは、Ca 拮抗薬です。血管平滑筋細胞の膜電位依存性 Ca チャネルに結合して作用し、平滑筋を拡張させます。

選択肢 2 ですが
イミダプリルは、ACE 阻害薬です。酵素を阻害する薬であり、血管平滑筋細胞に直接作用する薬では、ありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、正しい選択肢です。
テルミサルタンは、アンギオテンシン II 受容体拮抗薬です。血管平滑筋細胞の AT1 受容体というアンギオテンシンⅡに結合する受容体に作用することで血管平滑筋を拡張させます。

選択肢 4 ですが
クロニジンは、α2 受容体に作用することで交感神経からの神経伝達物質の遊離を抑制します。その結果、交感神経を抑制することで降圧作用を示す、中枢性の降圧薬です。血管平滑筋に直接作用する薬では、ありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
カルテオロールはβ遮断薬です。心機能抑制による降圧作用を期待して用いられる薬です。血管平滑筋に直接作用する薬では、ありません。また、β遮断薬は気管支平滑筋に作用し平滑筋収縮をもたらすため、ぜん息患者には禁忌です。

以上より、正解は 1,3 です。

コメント