薬剤師国家試験 第100回 問240-241 過去問解説

 問 題     

薬局で向精神薬の処方量を不正に多くした偽造処方せんが見つかった。偽造処方せんを持ってきたのが中学生であったため、通っている中学校側とも相談し、臨時に生徒を対象とした薬物乱用防止講座を開くこととなった。

問240

その薬物乱用防止講座の内容に関する記述のうち、適切でないのはどれか。2つ選べ。

  1. 薬物を遊びや快楽のために、1回使用しただけでも薬物乱用とみなされる。
  2. 安息香酸ナトリウムカフェインは、第一種向精神薬である。
  3. 薬物乱用を取り締まる法律のひとつとして「麻薬及び向精神薬取締法」がある。
  4. 薬物乱用者には、身体的依存は見られない。
  5. 処方せん調剤された向精神薬でも、薬物乱用の対象となる場合がある。

問241

乱用が問題となっている下記の薬物のうち、向精神薬でないものはどれか。2つ選べ。

 

 

 

 

 

正解.
問240:2, 4
問241:1, 2

 解 説     

問240

選択肢 1 は、正しい選択肢です。
薬物乱用 とは、医薬品を医療目的以外に使用すること 又は、医療目的にない薬物の不正使用 です。つまり「そういうものじゃないよね?」 という使い方したらそれは乱用です。

そして、「乱用」という言葉の雰囲気から、あたかも「すごい頻度で使用している」ような印象を受けますが、回数は関係ありません。1回だけでも、乱用した といいます。

選択肢 2 ですが
第一種向精神薬は、メチルフェニデート、モダフィニル、セコバルビタールのみです。(本試験時。)安息ナトリウムカフェインは向精神薬ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、正しい選択肢です。

選択肢 4 ですが
身体的依存とは、薬物がないと禁断症状と呼ばれる様々な身体的異常がでる状態です。薬物乱用の結果として、おきうる現象です。よって、選択肢 4 は誤りです。

— 以下 雑感 —
ちなみに、このような知識を得た結果として「身体的依存はないって勧められたからそれならいいんでしょ?」と考える人もいるのだろうと推測します。「身体的依存がないと勧められたから身体的依存はない」 という論理は誤りです。勧めた人の嘘や勘違い、虚偽かもしれません。

また、精神的依存 があれば、結局のところ摂取がやめられなくなりその弱みにつけこまれればお金や時間を、他人に奪われることを避けることが非常に難しくなる、ということを忘れないでほしい、と個人的に強く願います。— 以上 雑感 —

選択肢 5 は、正しい選択肢です。
乱用 という定義から、処方せん調剤された向精神薬であっても医療目的以外に使えば、乱用です。

以上より、正解は 2,4 です。

問241

選択肢 1 は、LSD です。
薬では、ありません。

選択肢 2 は、コカインです。
薬では、ありません。

選択肢 3~5 は、向精神薬です。
つまり、中枢に作用する薬です。

それぞれ
3:クロルプロマジン(®ウインタミン、コントミン)→ フェノチアジン系向精神薬です。統合失調症などに用いられます。

4:フェノバルビタール(®アレビアチン)→ てんかんなどに用いられます。

5:クロルジアゼポキシド(®コントール)→ ベンゾジアゼピン系抗不安薬です。

以上より、正解は 1,2 です。

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