薬剤師国家試験 第100回 問149 過去問解説

 問 題     

50歳男性。半年前に胃潰瘍と高血圧を指摘され、現在は、カルシウム拮抗薬を服用している。本日の診察で糖尿病を指摘され、α-グルコシダーゼ阻害薬が処方された。

処方せんを持って保険薬局を訪ねたところ、薬剤師から症状について質問されたため、男性は「胃潰瘍も治り、血圧も下がっています。血糖値は高いのですが、症状は何もありません。それなのにまた薬が追加になって、がっかりしています。」と答えた。

この患者の気持ちに対する共感的な発言として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. 「私も同じような経験があります。心配ないですよ。」
  2. 「胃潰瘍と高血圧に加えて糖尿病までかかられて、お気の毒です。」
  3. 「症状がないのに薬が追加されて、がっかりされているのですね。」
  4. 「薬を飲めば血糖値が下がりますから、がっかりする必要はありません。」
  5. 「なぜ、がっかりとした気持ちになったのでしょうか。」

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

共感的な発言 ということは「あなたの気持ちを理解しています」という発言であり、具体的な手法としては、心情などが現れている発言をとらえ、繰り返すことにより共感を示す という技法があります。

本問において患者さんの心情が現れている部分とは「それなのに、薬が追加されて、がっかりしています」であると考えられます。従って、その部分がそれまでの文脈をふまえ、まとめた上で繰り返されている選択肢 3 が正解であると考えられます。

以上より、正解は 3 です。

以下 雑感 ——
本問は、ペーパーテストとして出題されると、正直、なんて簡単なんだと思いました。しかし、実務の場において複数の作業に追われながら、職員とのやり取りも並行しつつ目の前の患者さんに対して、このような態度を取ることを心がけている薬剤師がいったいどれぐらいいるものか。ましてや、実際に行動に移すことができているのはいかほどかと、疑問を覚えるのも事実です。こういった問が、資格試験の一角を占めている ということは大きな意義があるのではないかと、個人的には思います。以上 雑感 —–

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