薬剤師国家試験 第100回 問60 過去問解説

 問 題     

慢性閉塞性肺疾患に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1 つ選べ。

  1. 喫煙が主な原因である。
  2. 右心不全によって悪化する。
  3. 病期・重症度は、肺活量により評価する。
  4. 増悪予防のためインフルエンザワクチンの接種が推奨される。
  5. 抗コリン薬の吸入が有効である。

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)とは、肺気腫及び慢性気管支炎の総称です。

選択肢 1,2,4,5 は、その通りの記述です。

選択肢 2 について、以下で補足します。
COPDにより、酸素が十分に肺に送られなくなると、ガス交換効率の悪い肺胞への血流の低下が見られます。肺への血流が悪化すると、フォローしなきゃということで肺へ血液を送り出している心臓、右側の心室 が負担増となります。したがって右心不全が起きる ということになります。心不全が起きると呼吸困難が進行したりと、症状が悪化します。

選択肢 3 ですが
肺活量ではなく、1秒率で評価します。1秒率(FEV 1%)とは、1秒量(1秒で吐き出せる息の量)を努力肺活量(時間を気にせず、思いっきり吸って、吐いた息の量)で割った値のことです。

以上より、正解は 3 です。
類題 101-300301
参考 病態・薬物治療学まとめ 上気道炎、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、肺結核、肺癌、乳癌の概説

 

ーー
以下、国試対策としては不要。

外部サイト 参考)COPD-jp.com (COPDに関する総合情報サイト です。)

ちなみに、雑感ですが
COPDに関しては、何よりもまず禁煙 という点に始まり、理学療法的な呼吸リハビリテーションや栄養学的な栄養管理など、幅広い治療を組み合わせることで病気の進行を遅らせるとともに自覚症状を軽くすることができます。

このような知見と、患者さんの橋渡しをうまく行うためにも、情報源や資料をいかにして業務に活用していくかといった点に思いを馳せつつ勉強や実習などに取り組むと充実した時間が過ごせるのではないか と感じます。
—–  以上 雑感を含む 国試対策不要部分  ——

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