公務員試験 H30年 国家専門職(教養) No.39解説

 問 題     

市場経済に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.経済を構成する経済主体は,主として家計,企業,地方自治体から成っており,地方自治体は,家計や企業から租税を徴収し,公共財を供与する。地方自治体の税収が増加することで,家計や企業に供与される公共財水準が高まることを資産効果と呼ぶ。

2.経済の状態は,一定期間における取引の大きさであるフローと,ある時点での経済的な蓄積の水準であるストックの二つの側面から把握される。ストックの指標の一つである国内総生産(GDP)は,生産,消費,支出の三つの側面から捉えることができる。

3.市場は,価格機構を通じて効率的な経済環境を達成するが,価格機構が全く機能せずに市場が効率的に機能しない場合を市場の失敗と呼ぶ。このうち,外部性は外部経済と外部不経済に分けられるが,公害は外部経済の一つである。

4.寡占市場では,影響力の強いプライス・リーダーが設定した価格に他企業が従っているような価格を管理価格といい,価格の下方硬直性が見られることがある。また,製品の品質・デザイン,広告・宣伝などを競う非価格競争が行われる傾向があるとされる。

5.企業は,公企業と私企業に大別される。私企業について,我が国の会社法では株式会社,合同会社,合資会社,合弁会社の4 種類がある。株式会社が負債を抱えて倒産した場合,その負債が出資額以上であっても,株主はその負債を全額弁済しなければならない。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
経済主体は、家計、企業、「政府」です。地方自治体ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。ちなみに資産効果とは、保有する土地などの価格変動に伴い、消費支出に影響を与える効果のことです。具体的には、自分の土地値上がり→いざとなれば売ればいい→海外旅行行っちゃうか♪といった効果です。

選択肢 2 ですが
GDP は、国全体のフローを示す指標といえます。ストックの指標ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
公害は外部「不経済」の代表例です。よって、選択肢 3 は誤りです。ちなみに外部性とは、市場取引に伴う、市場を経由しない副次的効果 のことです。メリットとなる場合「外部経済」、デメリットとなる場合「外部不経済」と呼びます。

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
株主は、自分が出資した以上には責任を負いません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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