公務員試験 H30年 国家専門職(教養) No.31解説

 問 題     

音や光に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.走行する救急車のサイレンの音は,救急車が近づいてくるときに低く,遠ざかっていくときに高く聞こえる。これは,クーロンの法則によると,音源が近づくところでは,波長が長く,振動数が小さくなり,その結果,音源の出す音よりも低く聞こえるためである。

2.ヤングの実験によって,音が波動であることと,温度の異なる空気の境界ではその両側で音速が異なるために,音波は回折することが示された。このような音波の回折のため,夜間には聞こえない音が,地表付近の空気の温度が上昇する昼間には聞こえることがある。

3.凸レンズに光軸と平行な光線を当てると,凸レンズの後方の光軸上の1 点に光が集まる。この点を凸レンズの焦点という。逆に,焦点から出る光は,凸レンズを通過後,光軸に平行に進む。凸レンズによる実像は向きが物体と逆向きになり,また,凸レンズによる虚像は向きが物体と同じ向きである。

4.光は,波長によって持っている力学的エネルギーが異なるため,真空状態の空間で白熱電球などから白色光を出すと,スペクトルという虹のような一連の色に分かれる現象が見られ,これを光の干渉という。太陽光の連続スペクトルの中には,γ線という多くの暗線が見られる。

5.地上における光の速さは, 2 枚の偏光板を回転させることで測定することができ,この結果から,ホイヘンスの原理によって真空中における光の速さが導き出される。一方,音の速さは,鏡と歯車を用いたフィゾーの実験で測定することができる。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
サイレンの音は「近づくと高く」、「遠ざかっていくと低く」なります。これは「ドップラー効果」です。「クーロンの法則」は「電荷同士の引き合う力、反発する力」に関する法則です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
ヤングの実験は、スリットを用いた「光」の「干渉」を示した実験です。また、夜に音が聞こえることがあるのは、音の「屈折」率が温度によって変わるためです。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
プリズムを通すことでスペクトルが見られます。これは光の「分散」です。「干渉」ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
「フィゾーの実験」が「光の速さ」を測定した実験です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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