公務員試験 H30年 国家専門職(教養) No.30解説

 問 題     

我が国の金融等の動向に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.金融分野における情報通信技術の進展等の環境変化に対応するため,平成28 年,銀行法が改正され,従来5 % までとされていた銀行による事業会社への出資制限が撤廃された。また,脱税や年金の不正受給を防ぐため,平成29 年,集中管理型のデータベースを用いたブロックチェーンを活用し,預貯金口座へのマイナンバーの付番が義務化された。

2.ビットコイン等の仮想通貨は,インターネット上で自由にやりとりされ,通貨のような機能を持つ電子データである。我が国では,仮想通貨と法定通貨の交換所を営んでいた事業者が破綻したことがあり,利用者保護等の観点から,平成29 年に,国内で仮想通貨交換業を行う事業者について登録制が導入された。

3.公的年金を受け取るために必要な期間は従来25 年であったが,無年金者の問題を解決するため,平成29 年から,加入期間に関わらず公的年金が支払われるようになった。また,私的年金の普及を図るため,従来,会社員や公務員のみに加入が認められていた個人型確定拠出年金(iDeCo)について,平成29 年から自営業者や専業主婦にも加入が認められることとなった。

4.平成26 年に導入された少額投資非課税制度(NISA)が拡充され,平成28 年から,50 歳未満の対象者名義の金融機関の専用口座に,祖父母や両親が資金を拠出し,対象者が運用を行う「ジュニアNISA」が開始された。また,平成29 年から,従来のNISA に上乗せする形で年間120 万円まで積み立てて,期限を定めずに非課税で運用できる「つみたてNISA」が開始された。

5.平成28 年,日本銀行がマイナス金利政策の導入を決定し,銀行が日本銀行に預けている当座預金の金利がマイナス0.1 % に引き下げられた。これにより,銀行が融資に資金を振り向けたため,国債の価格が下落した。また,株式等の購入が増加したことにより,家計の金融資産残高の構成をみると,株式等が現金・預金を平成28 年3 月末に初めて上回った。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが、いわゆる「5%ルール」について「撤廃」ではありません。また「ブロックチェーン」は「集中管理型のデータベース」ではありません。分散型です。また、預貯金口座へのマイナンバーの付番は、試験時点では義務化ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当な記述です。

選択肢 3 ですが、「加入期間に関わらず」ではなく、「10 年間に短縮された」です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが、ジュニア NISA は「未成年の子どものための少額投資非課税制度」です。利用できるのは「未成年」です。また、つみたて NISA は長期の積立・分散投資を通じた資産形成を後押しするために創設された税制優遇制度です。「年間 40 万円まで」です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが、家計の金融資産残高構成では、試験時点では変わらず「現金・預金」が圧倒的で、半数以上です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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