過去問 H30年 国家一般職(高卒 基礎)No.35解説

 問 題     

国際連合(国連)や条約に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.国連児童基金(UNICEF)は,経済社会理事会の決議により設立された専門機関であり,難民の地位に関する条約に基づく難民の保護活動などを行っている。

2.国連は,国際協力による人権の尊重を目的の一つとしており,達成すべき共通の基準として世界人権宣言を採択し,さらに,法的拘束力を持たせた国際人権規約を採択した。

3.国連環境開発会議(地球サミット)では,「かけがえのない地球」を基本理念とした京都議定書が採択され,発展途上国も含む世界各国に温室効果ガスの排出削減義務が課せられた。

4.核実験を全面的に禁止する包括的核実験禁止条約(CTBT)が安全保障理事会で採択され,1990 年代に発効されたため,1960 年代に調印された核拡散防止条約(NPT)は失効した。

5.国際刑事裁判所(ICC)は,国家が犯した戦争犯罪や人道に対する犯罪を裁き,当事国が判決を履行しない場合,国際平和と安全の維持・回復のための強制措置を決定する。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
難民の保護活動などを行っているのは、国連難民高等弁務官事務所です。国連児童基金ではありません。国連児童基金は、世界のこどもたちのための国連機関です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
国連 及び 国際人権規約に関する記述です。

選択肢 3 ですが
京都議定書では、排出量削減の法的義務は先進国にのみ課せられていました。それもあって、当時最大の排出国であった米国は議定書に批准しませんでした。「発展途上国も含む世界各国に温室効果ガスの排出削減義務が課せられた」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
CTBT は、発効要件国の批准を経ておらず、未発効です。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
ICC は強制力を持ちません。国家の協力がなければ、実効性を担保できません。「当事国が判決を履行しない場合,国際平和と安全の維持・回復のための強制措置を決定する」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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