公務員試験 H30年 国家一般職(化学) No.30解説

 問 題     

化合物 A,B に関する記述 ㋐,㋑,㋒ のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 化合物 A,B は,互いに構造異性体である。
㋑ 化合物 A,B は,互いにエナンチオマーである。
㋒ 化合物 A,B は,互いにジアステレオマーである。

1.㋐
2.㋐,㋑
3.㋐,㋒
4.㋑
5.㋒

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

㋐ですが
構造異性体とは、分子式は同じだが、炭素骨格や置換基の位置が異なる化合物のことです。A,B は骨格や置換基の位置は同じで、立体的関係が異なります。これは「立体異性体」です。よって㋐は誤りです。正解は 4 or 5 です。

㋑、㋒ですが
化合物 A,B はそれぞれ cis-1,3-ジメチルシクロペンタン、trans-1,3-ジメチルシクロペンタンです。Aを基準として、左側の不斉炭素に注目して、置換基を一回交換しているのが 化合物 B といえます。ある不斉炭素に注目し、置換基を一回交換すると、不斉炭素の R,S が変わります。

2 つ不斉炭素がある場合「エナンチオマー」とは「R,R」に対して「S,S」や、「R,S」に対して「S,R」のように、完全にR,Sが反転している化合物同士になります。従って、A,Bは互いに「エナンチオマー」ではありません。

ちなみに、trans-1,3-ジメチルシクロペンタン(化合物 B)には、不斉炭素の R,S が反転したエナンチオマーが存在します。また、cis体(化合物A)とtrans体(化合物B)の関係は 「ジアステレオマー」です。

以上より、正解は 5 です。

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