公務員試験 H30年 国家一般職(化学) No.31解説

 問 題     

安息香酸の誘導体の性質に関する次の記述のうち最も妥当なのはどれか。

1.oー,mー,pークロロ安息香酸の中では,oークロロ安息香酸が最も弱い酸である。
2.oー,mー,pーニトロ安息香酸の中では,oーニトロ安息香酸が最も弱い酸である。
3.oー,mー,pーヒドロキシ安息香酸の中では,oーヒドロキシ安息香酸が最も強い酸である。
4.pーヒドロキシ安息香酸は,pーニトロ安息香酸より強い酸である。
5.pーメトキシ安息香酸は,mーメトキシ安息香酸より強い酸である。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
酸として働く場合、抜ける水素 (H) はカルボキシル基の H です。カルボキシル基に対して相対的に最も近くに電気陰性度の高い Cl が置換している「o – クロロ安息香酸」は「酸性度が高い」と考えられます。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
やはり抜ける H はカルボキシル基 の H です。ニトロ基が電子吸引基です。ニトロ基が o,p 位にある時は、共鳴効果で共役塩基が安定化されます。従って、m – ニトロ安息香酸が最も弱い酸と考えられます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当な記述です。
カルボキシル基の H が抜けた構造を考えてみると、o ー 位の OH と水素結合を形成するため、他の置換異性体と比べて安定です。

選択肢 4 ですが
OH基 は、電子供与基です。共役塩基を不安定化させます。従って、p-ニトロ安息香酸の方が強い酸と考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
メトキシ基が電子供与基なので、o,p 位 にあると共役塩基を不安定化させます。

フェノールや安息香酸誘導体の 酸性度について
1:「電子供与」がついてるか「電子吸引」がついてるか で、吸引付いてるほうが H とれやすく酸性度高い。

2:共鳴効果を考える時は共役塩基の構造をまず考える→H がとれて負電荷はベンゼン環の o,p へ非局在化→o,p に電子吸引基あると安定。o,p に電子供与基があると不安定。

3:特殊なのがオルト位。近いから、想定外の水素結合や 立体的障害も影響する。
という3ステップで整理しておくとよい印象です。

以上より、正解は 3 です。

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