公務員試験 H30年 国家一般職(化学) No.29解説

 問 題     

イオンや分子の構造及び性質に関する記述 ㋐,㋑,㋒ のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ CO32- イオンの三つの炭素-酸素結合の長さが等しいのは,次式のような異性化がとても速く起こっているためである。

㋑ 次式のようなカルボニル基とヒドロキシ基を有する化合物には平衡が存在しており,どちらもヒドロキシ基を有する化合物の方向に平衡が大きく傾いている。

㋒ 臭素と臭化鉄(Ⅲ)FeBr3 を用いた,トルエンの芳香環のパラ位に対する臭素化反応において,その中間体は次の共鳴構造式で表すことができる。

1.㋐
2.㋐,㋑
3.㋑
4.㋑,㋒
5.㋒

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

㋐ですが
㋐の 3 つの構造は極限構造です。炭酸イオンは「共鳴構造体」として存在し、「異性化がとても速く起こっている」わけではありません。よって、記述㋐は誤りです。

㋑ですが
右側の平衡について、ビニルアルコールは不安定です。従って、左側のアルデヒドの形に平衡が大きく傾いていると考えられます。よって、記述㋑は誤りです。

㋒は妥当な記述です。

以上より、正解は 5 です。

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