公務員試験 H30年 国家一般職(教養) No.32解説

 問 題     

有機化合物に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.アルコールとは,一般に,炭化水素の水素原子をヒドロキシ基(-OH)で置き換えた形の化合物の総称である。アルコールの一種であるエタノールは,酒類に含まれており,グルコースなどの糖類をアルコール発酵することによって得ることができる。

2.エーテルとは, 1 個の酸素原子に2 個の炭化水素基が結合した形の化合物の総称であり,アルコールとカルボン酸が脱水縮合することによって生成する。エーテルの一種であるジエチルエーテルは,麻酔に用いられ,水に溶けやすく,有機化合物に混ぜると沈殿を生じる。

3.アルデヒドとは,カルボニル基( C=O)の炭素原子に1 個の水素原子が結合したアルデヒド基(-CHO)を持つ化合物の総称である。アルデヒドの一種であるホルムアルデヒドは,防腐剤などに用いられる無色無臭の気体で,酢酸を酸化することによって得ることができる。

4.ケトンとは,カルボニル基に2 個の炭化水素基が結合した化合物の総称である。ケトンは,一般にアルデヒドを酸化することで得られる。ケトンの一種であるグリセリンは,常温では固体であり,洗剤などに用いられるが,硬水中では不溶性の塩を生じる。

5.カルボン酸とは,分子中にカルボキシ基(-COOH)を持つ化合物の総称である。カルボン酸は塩酸よりも強い酸であり,カルボン酸の塩に塩酸を加えると塩素が発生する。また,油脂に含まれる脂肪酸もカルボン酸の一種であり,リノール酸,乳酸などがある。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は、妥当な記述です。

選択肢 2 ですが
「アルコールとカルボン酸の脱水縮合」でできるのは「エステル」です。エーテルではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
炭素数1のアルコールであるメタノールを酸化すると、炭素数1のアルデヒドであるホルムアルデヒド→カルボン酸であるギ酸 となります。また、炭素数2のアルコールであるエタノールを酸化すると、アセトアルデヒド→酢酸 になります。「酢酸の酸化でホルムアルデヒド」ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ケトンは一般に「第二級アルコール」の酸化により得られます。また、アルデヒドが「第一級アルコール」の酸化により得られます。「アルデヒドの酸化」でケトンが得られるわけではありません。また、グリセリンは、OH基が3つある、「3価のアルコール」です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
カルボン酸は弱酸です。一般的に、塩酸より強い酸ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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