公務員試験 H30年 国家一般職(教養) No.31解説

 問 題     

原子核や放射線に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.原子核は,原子番号と等しい個数で正の電荷を持つ陽子と,陽子と等しい個数で電荷を持たない中性子から成っている。陽子と中性子の個数の和が等しい原子核を持つ原子どうしを同位体といい,物理的性質は大きく異なっている。

2.放射性崩壊とは,放射性原子核が放射線を放出して他の原子核に変わる現象をいう。放射性崩壊によって,元の放射性原子核の数が半分になるまでの時間を半減期といい,半減期は放射性原子核の種類によって決まっている。

3.放射性物質が放出する放射線のうち,α 線は陽子1 個と中性子1 個から成る水素原子核の流れであり,β 線は波長の短い電磁波である。α 線は,β 線と比べてエネルギーが高く,物質に対する透過力も強い。

4.核分裂反応では, 1 個の原子核が質量数半分の原子核2 個に分裂する。太陽の中心部では,ヘリウム原子核1 個が水素原子核2 個に分裂する核分裂反応が行われ,莫大なエネルギーが放出されている。

5.X 線は放射線の一種であり,エネルギーの高い電子の流れである。赤外線よりも波長が長く,γ 線よりも透過力が強いため,物質の内部を調べることができ,医療診断や機械内部の検査などに用いられている。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが、陽子と中性子の個数の和を「質量数」といいます。陽子の数が同じで、質量数のみことなる原子どうしを同位体といいます。「等しい」原子どうしではありません。また、同位体の物理的性質は非常に似通っています。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、妥当な記述です。

選択肢 3 ですが、α線 = Heの原子核 = 陽子2個+中性子2個です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが、太陽の中心部で行われているのは「核融合」です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが、電子の流れ = 電子線は β 線です。X 線は電磁波の一種です。波長は可視光線よりもはるかに「短い」です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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