公務員試験 H30年 国家一般職(教養) No.33解説

 問 題     

植物の環境応答に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.多くの植物の種子に含まれるジベレリンは,デンプンを分解して,植物の成長に必要な糖を生成する作用がある。そのため,ジベレリンで処理することで種子の発芽,茎の伸長,果実の成長や種子の形成を促進させることができる。

2.茎や根に含まれるオーキシンは,成長促進作用があるため,濃度が高くなるほど植物の成長を促すが,ある濃度以上になると成長は一定となる。また,オーキシンの感受性は器官に関係なく,オーキシンの濃度が等しければ成長は一定となる。

3.果実の成熟過程では,エチレンを自ら生成して果肉の軟化,果皮の変色といった変化が起こる。生成したエチレンはその果実の成熟に消費されるため,大気中には放出されず,周囲の果実の成熟に影響を与えることはない。

4.植物の器官が環境からの刺激を受けたときに,屈曲する反応を示すことがあり,これを屈性という。このうち,重力の刺激に対する反応を重力屈性といい,無重力条件下では,重力屈性が起こらないため,植物の茎や根は屈曲せず真っすぐに成長する。

5.花芽の形成が日長の変化に反応する性質を光周性という。例えば,長日植物は,連続した暗期の長さを計っており,太陽光だけではなく人工照明の明かりでも花芽の形成に影響を受ける。この性質を用い,人為的に日長を変えることで開花の時期を調節することがある。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
ジベレリンは成長促進、「種無し」ブドウなどの作成に用いられる、ある種の植物ホルモンの総称です。「種子の形成を促進」が誤りと考えられます。

選択肢 2 ですが
オーキシンは、最適な濃度が器官によって異なることが知られています。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
エチレンは大気中に放出されて、周囲の果実の成熟に影響を与えることがあります。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
重力下において、茎や根は上下方向の違いはあれど、真っ直ぐに成長します。よって、選択肢 4 は誤りです。

以上より、1~4誤りなので、正解は 5 です。

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