公務員試験 H30年 法務省専門職員 No.26解説

 問 題     

ピアジェ(Piaget, J.)の発達理論に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.ピアジェは,知的な発達を,外界を認識するための心的枠組みであるシェマを環境との活発な相互作用によって変換させていく過程として捉えた。この過程には,「同化」と「調節」の二側面があり,このうち「調節」とは,入ってきた情報を既存のシェマに合わせて変形することを指す。

2.感覚運動期は,誕生から2 歳頃までの時期であり,知的な働きが感覚と運動の連合の形成によっている段階である。「対象の永続性」の概念が獲得されるのは3 歳以降であるため,感覚運動期の子供は,目の前の物がハンカチで覆われて見えなくなると,その物がなくなってしまったと捉える。

3.前操作期は, 2 歳頃から7 歳頃までの時期であり,頭の中の表象レベルで思考でき,言葉や物を象徴的に使うことができる段階である。この段階の子供は,他者の視点から見たときに対象がどのように見えるかを理解できるようになり,「三つ山問題」に正しく答えられる。

4.具体的操作期は, 7 歳頃から11 歳頃までの時期であり,具体的な対象を扱う限りにおいて,論理的に考えることができる段階である。量の保存の概念を獲得すると,同形同大の二つの容器に入った同量の水の片方を,別の細長い容器に移し変えて液面が高くなったとしても,水の量は変わらないことが分かる。

5.形式的操作期は,11 歳頃以降の時期であり,抽象的な対象について論理的に考え,仮説を立て,系統的に検証できるようになる段階である。具体的操作期の子供に見られた自己中心語は,形式的操作期に至ると音声が抜け落ち,思考の道具としての働きを獲得する。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
「調節」は、シェマを変化させることです。情報を既存のシェマに合わせて変形するのは「同化」です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
「対象の永続性」の概念は、生後3~4ヶ月程度から獲得しているとされています。少なくとも「3歳以降」という記述は妥当ではないと考えられます。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
脱自己中心性を示し、三つ山問題に正しく答えることができるようになるのは具体的操作期(7~11歳)です。前操作期ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
「保存性の習得」に関する記述です。

選択肢 5 ですが
自己中心語が見られるのは、2歳ごろからです。そして、自己中心語は前操作期(2~7歳頃)に消えていくとされています。従って「具体的操作期の子供に見られた自己中心語は、形式的操作期に至ると・・・抜け落ち」という記述は妥当ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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