公務員試験 H30年 法務省専門職員 No.25解説

 問 題     

ストレンジ・シチュエーション法及びこれにより分類される愛着のタイプに関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.この実験法は,標準的には3 歳の子供を対象としており,見慣れない場所で養育者から分離させられ,見知らぬ人に出会い,養育者と再会する,というマイルドなストレス場面を子供に与え,そこでの子供の反応を観察することで愛着の個人差を測定するものである。

2.ストレンジ・シチュエーション法において,養育者との分離時に,回避型の子供は強い不安や混乱を示すのに対して,安定型の子供は混乱を示さないことから,安定型の子供は養育者を安全基地として利用できていると考えられている。

3.ストレンジ・シチュエーション法において,アンビヴァレント型の子供は,養育者との分離時に非常に強い抵抗を示すが,再会時には身体接触を求めずに一定の距離を保ったまま養育者の様子を伺うことが多く,全般的に不安定で用心深い行動を示す。

4.エインズワース(Ainsworth, M. D. S.)は,愛着のタイプの違いを養育者の発するシグナルに対する子供の感受性によって説明した。彼は,回避型やアンビヴァレント型の子供は,感受性が低すぎるか,あるいは高すぎるために養育者との間に調和的な相互作用が生じにくいと考えた。

5.メイン(Main, M.)は,愛着のタイプには,組織化された愛着タイプである安定型,回避型,アンビヴァレント型以外に,個々の行動が全体的に秩序立っていなかったり,行動の方向性が定まっていなかったりする無秩序・無方向型が存在することを指摘した。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

エインズワースは「乳児の愛着の質」を調べるためのストレンジ・シチュエーション法を開発しました。これは乳児と母と知らない人が部屋に入り、母や見知らぬ人が出入りする際の反応を見る実験方法です。結果は回避型、安定型、アンビバレント型、分類不能型の4つに分類されます。(参考 H27no26)

選択肢 1 ですが
ストレンジ・シチュエーション法についてのイメージは、ハイハイしている赤ちゃんが出てくるのではないでしょうか。標準的に、生後12か月~18か月の子供と母親の愛着の安定性の評価を行う実験方法です。「3歳の子供を対象」ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
回避型は、親を避けるような行動をとります。また、分離された時の探索行動があまり活発でないという特徴が見られます。(参考 H26no25)。「養育者との分離時に、回避型の子供は強い不安や混乱を示す」わけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
アンビバレント型は、分離時に強い不安を示し、戻った時に身体接触を求める一方、激しい怒りをみせるといった特徴があります。(参考 H26no25)。「再開時には身体接触を求めずに・・・」という記述は妥当ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
エインズワースは、愛着のタイプの違いを「養育者の感受性」によって説明しました。「子供の感受性」ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。

以上より、正解は 5 です。

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