問 題
パーソナリティ検査に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.文章完成法は,単語又は未完成の文章を刺激として提示して,自由に完成させるという課題を通じて,被検者の特性を知る心理検査である。使用目的に応じて,検査者が知りたいことを刺激として自由に作成して設定できることや,個人施行でも集団施行でも実施可能であることが特徴である。
2.PーF スタディは,フラストレーションに対する反応や欲求不満耐性を知る心理検査である。児童用,青年用,成人用の3 種類があり,いずれも24 場面から構成される。被検者の反応は,アグレッションの型と方向の二つの次元から分類され,解釈される。ここでのアグレッションは,「攻撃性」を意味し,敵意や暴力として表れる破壊的なものとされる。
3.ミネソタ多面式人格目録は,心気症,抑うつ,精神衰弱などを測定する10 個の臨床尺度と,回答者の受検態度を測定する4 個の妥当性尺度及び追加尺度から構成される心理検査である。このうち,Pa 尺度が高得点の場合,社会の価値規範に同調せず,非社会的又は反社会的な形で権威への反抗と敵意をあらわにする傾向があるといえる。
4.ロールシャッハ・テストは,10 枚のインクブロットを提示し,それが何に見えるかを問う心理検査である。産出された反応は,基本的に反応領域,決定因,反応内容の三つの側面から記号化する。考案者であるロールシャッハ(Rorschach, H.)は,インクブロットを何かに見立てる行為を,解釈を含み込んだ知覚ではなく空想・想像によるものであると考えた。
5.矢田部=ギルフォード性格検査は,120 の質問項目により,12 の性格特性を測定する心理検査である。このテストは,被検者のパーソナリティを典型的な五つの型に分類することができ,このうちC型は不安定不適応積極型と呼ばれる。この型は活動的で外向的であるが,性格のアンバランスが強く,環境次第で非行に向かいやすいとされる。
解 説
選択肢 1 は妥当です。
文章完成法についての記述です。
選択肢 2 ですが
P-F スタディは 児童用、青年用、成人用の 3 種類です。各反応は、アグレッション(攻撃)の方向(他責、自責、無責)と、型(障害優位(被害を指摘することにこだわる)、自我防衛(誰が悪いかにこだわる)、要求固執(問題解決にこだわる)の 3 × 3 = 9 パターンに分類されます。(H27no14)。P-F スタディでは、“攻撃性”よりも広い”主張性”という意味で、アグレッションという用語が用いられます。「フラストレーションに対する反応の総称」を意味します。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
ミネソタ多面人格目録(MMPI) は、 ヒステリーなどの傾向を測定する 10 の臨床尺度と、回答者の検査態度を測定する 4 つの妥当性尺度からなる質問紙法性格検査の1つです。妥当性尺度には、「どちらでもない」と回答した数から 「? 尺度」、社会的に望ましい方向に答える傾向を「 L 尺度」、ありえない質問にはいと答える数から「F尺度」、検査に対する防衛的態度を示す「K 尺度」の4つがあります。(H27no14)。臨床尺度の解釈について、「尺度得点間の相互関係」を読むことが、プロフィールの理解にあたり大切です。「ある尺度が高いから~~」という解釈をする検査ではありません。選択肢 3 は誤りと考えられます。
選択肢 4 ですが
ロールシャッハ・テストでは、インクプロットを何かに見立てる行為を「解釈を含みこんだ知覚」と考えます。「空想・想像によるもの」と考えるわけではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
前半部分の記述は妥当です。後半部分ですが、五つの型は A ~ E 型です。頭文字はそれぞれ A → average 「平均」、B → black List 「不安定不適応積極」、C → Calm 「安定適応消極」、D → Director 「安定積極」、E → Eccentric「不安定不適応消極」 の頭文字です。それぞれに良し悪しはないことに留意が必要です。不安定不適応積極は B 型です。C 型ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1 です。
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