公務員試験 H27年 法務省専門職員 No.14解説

 問 題     

パーソナリティ検査に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. ミネソタ多面人格目録は、攻撃性、神経症、不安傾向などを測定する10個の臨床尺度と、回答者の検査に対する態度を測定する4個の妥当性尺度から成り立っている。L尺度の得点が高い場合、回答者に検査に対する強い抵抗や著しい精神障害があると解釈できる。

2. バウムテストは、おおむね6歳以上の児童から老人まで適用可能な検査である。木の象徴性について、コッホ (Koch, K.) によれば、「根」は過去や幼少期の成長を表し、「樹冠」は自我の領域で、自己概念の基本領域や生まれつきの素質的な部分を表すとされている。

3. P-F スタディは、児童用と青年用の2種類の形式があり、欲求不満が喚起される場面に置かれた人の発言を想定させ、空白の吹き出しに記載させるといった検査である。各反応はアグレッションの方向とコンプレックスの型によって九つに分類される。

4. 文章完成法は、単語ないし未完成の短文を刺激として与え、刺激から連想される内容を記入して文章を完成させる検査である。例えば、「精研式文章完成法テスト」では、パーソナリティに関して、知的側面、情意的側面、指向的側面、力動的側面を評価項目として分析する。

5. ソンディ・テストは、8人の顔写真を1組とする6組をそれぞれ検査対象者に見せ、一番好きな写真から一番嫌いな写真まで順位を付けさせる検査である。その結果は、プロフィールをもとにA~Eの5類型に分類され、対象者の衝動性の方向と程度を知ることができる。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
ミネソタ多面人格目録(MMPI) は、 ヒステリーなどの傾向を測定する 10 の臨床尺度と、回答者の検査態度を測定する 4 つの妥当性尺度からなる質問紙法性格検査の1つです。妥当性尺度には、「どちらでもない」と回答した数から 「? 尺度」、社会的に望ましい方向に答える傾向を「 L 尺度」、ありえない質問にはいと答える数から「F尺度」、検査に対する防衛的態度を示す「K 尺度」の4つがあります。 L 尺度の説明が誤っています。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
バウムテストは、コッホにより創始された描画法検査の1つです。対象年齢は、絵をかければよく「おおむね 3 歳以上から」適用可能です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
P-F スタディは 児童用、青年用、成人用の 3 種類です。また、各反応は、アグレッション(攻撃)の方向(他責、自責、無責)と、型(障害優位(被害を指摘することにこだわる)、自我防衛(誰が悪いかにこだわる)、要求固執(問題解決にこだわる)の 3 × 3 = 9 パターンに分類されます。コンプレックスの型ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
ソンディ・テストは、正式には実験衝動診断法といいます。運命分析理論を実証するために開発した投影法です。1 組 8 枚、全 6 組の顔写真を見て、好き、嫌いを 2 枚ずつ選び、残りのうちからまた好き、嫌いを 2 枚ずつ選んでもらうという試験です。「一番好きから一番嫌いな写真まで順位を付け」るわけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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