公務員試験 H27年 法務省専門職員 No.15解説

 問 題     

リラクセーション法に関する記述 A~D のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A. 漸進的筋弛緩法は、骨格筋を弛緩させることが心身の病気の改善や予防につながるという考えのもと、ジェイコブソン (Jacobson, E.) が開発した技法である。身体の一部分 (例えば右腕) から弛緩させ、最終的には全身の筋肉を全て弛緩させていく。不眠や不安などの健康障害をもつ者のうち、言葉を理解し運動・筋肉系の随意運動が可能な状態の人が対象となる。

B. 自律訓練法は、シュルツ (Schultz, J. H.) により開発され、一定の言語公式の内容に受動的注意集中を行って、段階的に心理生理的再体制化を図る方法である。「標準練習」や「黙想練習」などの訓練があり、そのうち「標準練習」は、背景公式と、四肢重感練習や四肢温感練習などを含む6公式との計7段階から成っている。

C. 臨床動作法とは、不安神経症の患者の不安を改善するための動作訓練を発端として、成瀬悟策により開発された技法である。身体を動かしている過程の感じや、力の入れ方などに訓練の焦点を当てて、本人自らが主体的に力を緩める方法を身に付けることを目的としており、適応対象は広いが、運動機能の劣る高齢者や麻痺患者への実施は不適とされている。

D. バイオフィードバックとは、心拍などの生理反応を視覚や聴覚の信号に変換し、本人に提示して知覚させた上で、訓練を通じて身体内反応を制御させやすくする技法である。古典的条件づけを用いた第一段階と、オペラント条件づけを用いた第二段階から構成されており、特に児童や青少年については第一段階から実施することが効果的であるとされている。

1. A B
2. A C
3. B C
4. B D
5. C D

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

記述 A,B は妥当です。

記述 C ですが
成瀬悟策さん開発の臨床動作法は、もともと脳性麻痺などの身体不自由な人の訓練法だったリラクセーション法の一つです。従って「・・・麻痺患者への実施は不適」という記述は誤りです。記述 C は妥当ではありません。

記述 D ですが
バイオフィードバックとは、心拍などの生理反応を、センサーなどで音や光に変換し、対象者に自覚させた上で、意識的にコントロールできるようにする技法です。前半部分は正しい記述です。

後半部分ですが、古典的条件づけとは、中性刺激と無条件刺激を対提示することにより、中性刺激が条件刺激に変わり、新しい反射を引き起こすようになる手続あるいは現象のことです。バイオフィードバックの第一段階における信号は確かに中性刺激ですが、この信号によって新しい反射を引き起こすわけではありません。後半部分が誤っています。記述 D は妥当ではありません。

以上より、妥当な記述は A,B です。正解は 1 です。

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