問 題
学習や条件付けに関する記述 A〜D のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
A.生得的に特定の反応を引き起こす刺激と,本来その反応を引き起こさない中性刺激を繰り返し対提示することにより,その中性刺激のみの提示でその反応を引き起こすようになる学習の過程を古典的条件付けという。パブロフ(Pavlov, I.P.)は,イヌが,食物を口にしたときだけでなく,食物や皿,それらを運んでくる人を見たり,その人が来る足音を聞いたりしただけで唾液を出すことに着目し,古典的条件付けの様々な研究を行った。
B.ソーンダイク(Thorndike, E.L.)は,部屋の天井に果物をつるし,部屋の隅に木箱を置いてチンパンジーを観察したところ,チンパンジーは,跳ねても果物には手が届かずに諦めてしばらく部屋を見回した後,急に木箱を利用して果物を取ることができた。彼は,このような動物の洞察的な問題解決行動の観察に基づき,望ましい結果をもたらす行動は生じやすくなり,望ましくない結果をもたらす行動は生じにくくなるという練習の法則を提唱した。
C.ワトソン(Watson, J.B.)らは,乳児に,恐怖反応を引き起こす大きな音と白ネズミを繰り返し対提示したところ,乳児は,それまで恐がっていなかった白ネズミに恐怖反応を示すようになった上,白ウサギや毛皮のコートなど,白ネズミに似たものに対しても同様の恐怖反応を示すようになった。このように,ある刺激に条件付けられた反応が,類似した他の刺激に対しても生じることを般化と呼ぶ。
D.スキナー(Skinner, B.F.)は,生体の「反応をもたらす結果」による学習の過程をレスポンデント条件付けと名付けた。彼が考案した問題箱と呼ばれる実験装置では,箱の中でハトがキーをつついたり,ラットがレバーを押したりすると,報酬として餌等が与えられるとともに,反応が出現する様子が累積記録計で記録される。この装置を用いるなどして刺激を与えることによって行動を増加させる場合を正の強化と呼ぶのに対し,減少させる場合を負の強化と呼ぶ。
1.A,B
2.A,C
3.B,C
4.B,D
5.C,D
解 説
記述 A は妥当です。
古典的条件づけに関する記述です。(類題 H27no61)。
記述 B ですが
米国のソーンダイクが提唱したのは「効果の法則」です。試行錯誤による学習の際、快状態をもたらす効果のある行動は生起しやすくなるという法則です。(法務省専門職 H27no22)。「練習の法則」ではありません。記述 B は誤りです。
記述 C は妥当です。
般化についての記述です。
記述 D ですが
レスポンデント条件づけは、パブロフが発見しました。スキナーが発見したのは「オペラント条件づけ」です。記述 D は誤りです。(参考 法務省専門職 H29no15)。
以上より、正解は 2 です。
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