公務員試験 H30年 国家一般職(行政) No.21解説

 問 題     

行為能力制度に関するア〜オの記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.未成年者Aが,親権者Bの同意を得ずに,祖父Cから大学進学の資金として100 万円の贈与を受けた場合には,Bは,Aが締結したCとの贈与契約を取り消すことができる。

イ.成年被後見人Aが,成年後見人Bの同意を得ずに,自宅近くにあるスーパーマーケットCで日常の食事の材料として食料品を購入した場合には,Bは,Aが締結したCとの売買契約を取り消すことができる。

ウ.家庭裁判所は,保佐人Aの請求により,被保佐人Bの同意を得ることなく,Bが所有する家屋の売買についてAに代理権を付与する旨の審判をすることができる。

エ.家庭裁判所が,補助開始の審判によってAを被補助人とし,補助人としてBを選任した上で代理権を付与したが,同意権は付与しなかった場合には,Aの行為能力は制限されない。

オ.未成年者Aが,親権者Bの同意を得ずに,大型家電量販店Cで高価な家電製品を購入した場合において,Cは,Aが成年に達しない間に,Bに対し, 1 か月以上の期間を定めて,Aが締結したCとの売買契約を追認するかどうかその期間内に確答すべき旨の催告をすることがで
きる。

1.ア,イ
2.ア,オ
3.ウ,エ
4.ウ,オ
5.エ,オ

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

記述 ア ですが
祖父から大学進学資金の贈与を受けるという行為は、未成年者 A が単に権利を取得するだけの行為といえます。従って、親権者 B は取り消すことができません。(民法5条)。記述 ア は誤りです。

記述 イ ですが
日用品の購入その他日常生活に関する行為は、取り消すことができません。(民法 9 条)。記述 イ は誤りです。

記述 ウ ですが
保佐人への代理権付与審判には、本人の同意が必要です。(民法第 876 条の 4 第 2 項)。記述 ウ は誤りです。

記述 エは妥当です。
補助人に特定の法律行為の同意権が与えられた場合は,同意を要する行為について,被補助人の行為能力は制限されます。しかし、特定の法律行為の代理権のみが与られた場合、被補助人の行為能力は制限されません。

記述 オ は妥当です。
制限行為能力者の相手方の催告権についての記述です。(民法 20 条)。

以上より、正解は 5 です。

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