公務員試験 H30年 国家一般職(行政) No.16解説

 問 題     

行政立法に関するア〜オの記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.行政庁がその裁量に任された事項について裁量権行使の準則を定める場合,国民の権利義務に影響を与えることから,その設定には法律の根拠が必要である。

イ.法律上,被勾留者との接見が原則として許されているにもかかわらず,当該法律の委任を受けた規則において14 歳未満の者に原則として接見を許さないと規定していることは,法律の委任の範囲を超えており,当該規定は無効であるとするのが判例である。

ウ.従来非課税措置が採られていた物品に,通達を契機として課税処分がされた場合には,当該通達の内容が法律の正しい解釈に合致するとしても,当該課税処分は,法律に基づく処分と解することはできないため,無効であるとするのが判例である。

エ.行政手続法上,命令等を定める機関が命令等を定めようとする場合には広く一般の意見を求めなければならないとされており,意見提出をすることができる者も当該命令等の利害関係者に限定されていない。

オ.行政手続法上,命令等を定める機関は,命令等を定めた後においても,当該命令等の規定の実施状況,社会経済情勢の変化等を勘案し,必要に応じ,当該命令等の内容について検討を加え,その適正を確保するよう努めなければならないとされている。

1.ア,オ
2.イ,ウ
3.ア,イ,オ
4.ア,ウ,エ
5.イ,エ,オ

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

記述 ア ですが
まず準則とは、法解釈の「指針」です。「電子商取引及び情報財等に関する準則」などが代表例です。そして、マクリーン事件の判例によれば「裁量権行使の準則を定めることがあっても、このような準則は、本来、行政庁の処分の妥当性を確保するためのものなのである」とされています。これらより、国民の権利義務に影響を与える文書ではありません。従って「国民の権利義務に影響を与えることから,その設定には法律の根拠が必要」ではありません。記述 ア は誤りです。正解は 2 or 5 です。

記述 イ は妥当です。
最判 H3.7.9 面会不許可処分取消等請求事件の判例の内容です。

記述 ウ ですが
パチンコ球遊器事件の判例によれば「課税がたまたま通達を機縁として行われたものであっても、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである以上、課税処分は法の根拠に基づく処分と解するに妨げがない」とされています。無効ではありません。記述 ウ は誤りです。

記述 エ は妥当です。
行政手続法第 39 条、意見公募手続の内容です。

記述 オ は妥当です。
命令等を定める場合の一般原則を定めた、行政手続法第 38 条の内容です。

以上より、正解は 5 です。

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