公務員試験 H30年 国家一般職(行政) No.17解説

 問 題     

行政手続法に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.行政庁は,許認可等を取り消す不利益処分をしようとする場合,当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者がいるときは,公聴会の開催により,その者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。

2.行政庁は,不利益処分をする場合には,その名宛人に対し,同時に,当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし,当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は,この限りでない。

3.不利益処分の名宛人となるべき者には,聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間,行政庁に対する当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧及び複写の請求が認められており,当該請求がされた場合,行政庁は,正当な理由があるときでなければ,当該請求を拒むことはできない。

4.弁明の機会の付与は,聴聞と比較してより略式の手続であり,弁明の機会の付与を行う場合,行政庁は,不利益処分の名宛人となるべき者に対して,当該不利益処分の原因となる事実まで通知する必要はない。また,弁明は,原則として書面で行われる。

5.申請により求められた許認可等を拒否する処分は,申請に対する処分に当たると同時に不利益処分にも当たるため,当該拒否処分には,申請に対する処分に関する規定が適用されるほか,不利益処分に関する規定が準用される。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
行政手続法において処分は大きく、1:申請に対する処分、2:不利益処分 の2つに大別されます。「公聴会」が開かれるのは、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合です。(行政手続法第 10 条)。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
行政手続法第 13 条の内容です。

選択肢 3 ですが
不利益処分の名宛人となるべき者は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができます。行政手続法第 18 条です。しかし「複写の請求が認められる」という規定はありません。また、行政庁は「第三者の利益を害するおそれがあるとき」も、閲覧を拒むことができます。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
前半部分は妥当です。後半部分ですが、弁明の機会の付与を行う場合、「予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項」、「不利益処分の原因となる事実」、「弁明書の提出先及び提出期限」を書面により通知しなければなりません。「原因となる事実まで通知する必要はない」わけではありません。弁明が原則書面という点は、妥当です。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
行政手続法第2条4号ロにより、申請により求められた許認可等を拒否する処分は、不利益処分から除外されています。「同時に不利益処分にも当たる」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

コメント