公務員試験 H29年 国家専門職(食品衛生監視員) No.6食品衛生学Ⅱ(1)解説

 問 題     

汚染指標細菌(衛生指標細菌)に関する次の記述の Ⓐ~Ⓕ に当てはまるものを語群から選び出し、それぞれの番号を記せ。

「一般的に、食品の安全性確保のための指標細菌としては、 Ⓐ ・Ⓑ などが用いられ、総合的な品質確保のための指標としてはⒸ が広く用いられている。

ヒト及び動物の腸管内の常在菌である Ⓐ を Ⓓ 由来の病原菌の汚染指標として用いることを最初に提案したのはSchardinger である。当時流行していた赤痢や Ⓔ 、チフスなどの伝染病対策として、いかにして Ⓓ の安全性を確保するかということから考えられたものである。

すなわち、これらの病原菌は、ヒトや動物の腸内(糞便)にいるが、水中の微量の糞便汚染を肉眼や化学検査で証明することは難しいので、糞便と密接に関係のある菌群としてⒶ を調べることでその汚染状況を知るという考え方である。

なお、 Ⓑ は比較的厳しい環境条件において抵抗性があり、特に凍結に対する抵抗性が非常に強いことで注目されているが、我が国では、一部の Ⓕ の成分規格に用いられている。」

<語群>①サルモネラ属、②一般細菌(生菌)数、③大腸菌、④腸球菌、⑤コレラ、⑥腸炎ビブリオ、⑦デング熱、⑧マラリア、⑨小麦粉、⑩飲料水、⑪ミネラルウォーター、⑫アイスクリーム

 

 

 

 

 

 解 説     

一般的に食品の安全性確保のため、病原汚染菌による汚染を判断するための指標細菌として、大腸菌、腸球菌などが用いられます。また、総合的品質確保のための指標としては、一般細菌(生菌)数が広く用いられます。

大腸菌を飲料水由来の病原菌の汚染指標として用いることを提案したのは、シャルジンガー(1892年)です。当時流行していた赤痢やコレラ、チフスなどの対策として、飲料水の安全性確保のため考えられました。これらの病原菌は糞便汚染で飲料水を介して感染するが、飲料水を見ても微量なので検出できないという問題点がありました。

そこで、糞便の中にすごくいっぱいいる大腸菌であれば、わずかな糞便汚染であっても検出可能な程度の量だけ飲料水中に大腸菌が移行するはずだと考えたのです。いいかえると、飲料水中の大腸菌を見れば、「その飲料水が糞便汚染されており、コレラ等を媒介しるかどうか」という「飲料水の安全性」を判断できる、と考えたのです。

ちなみに、腸球菌は凍結に対する抵抗性が高いなどの特徴があります。現在、一部のミネラルウォーターの成分規格に用いられています。

以上より
A 大腸菌 ③
B 腸球菌 ④
C 一般細菌(生菌)数 ②
D 飲料水 ⑩
E コレラ ⑤
F ミネラルウォーター ⑪ です。

コメント