公務員試験 H29年 国家専門職(食品衛生監視員) No.6食品衛生学Ⅰ(3)解説

 問 題     

食品中の有害物質に関する記述 ①~⑤ について,妥当なものには ○ を,妥当でないものには × をそれぞれ記せ。

① ニトロソアミンは,亜硝酸とアミンが存在すると酸性下で生成するが,アスコルビン酸はニトロソアミンの生成を抑えることが知られている。

② トリクロロエチレンは,クロロホルムを含む有機塩素化合物の総称で,水の殺菌に使われる次亜塩素酸ナトリウムが入っている水を煮沸すると発生し,発がん性や催奇形性の毒性が指摘されている。

③ PCB は,ポリカーボネート樹脂などの原料となるため,ポリカーボネート製の食品容器と接触している食品や飲料を通じて体内に摂取されるおそれがある。

④ クロロプロパノール類とは,プロパノールに塩素が結合した化合物であり,アミノ酸液を原材料として添加しているしょうゆを製造する際に生成することが知られている。

⑤ 銅は空気中の炭酸ガス及び水分と反応して緑青と呼ばれるさびを生成するが,アルカリ性食品によって,これが溶出するおそれがあることから,銅の調理器具などは食品と接触する面にスズメッキ又は銀メッキ処理をすることが食品衛生法に規定されている。

 

 

 

 

 

 解 説     

①は、妥当な記述です。

②ですが
記述は「トリハロメタン」についてです。トリクロロエチレンではありません。主語をトリハロメタンにすれば、正しい記述です。

③ですが
ポリカーボネート樹脂の原料は、ビスフェノール A とホスゲン(or ジフェニルカーボネート)です。記述は「ビスフェノール A」に関してと考えられます。

④ は、妥当な記述です。
ちなみに、「日本のしょうゆ生産量の 8 割以上を占める本醸造方式で製造されたしょうゆは、アミノ酸液(液体の酸加水分解植物性たん白)を原材料に使用しないため、クロロプロパノール類を含まないか、含まれていたとしてもごく微量であると農林水産省による実態調査で報告されてい」るとのことです。参考)https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/c_propanol/content/free.html

⑤ですが
緑青とは、様々な塩基性銅塩の混合物です。主な成分は、CuCO3・Cu(OH)2 です。塩基性なので、溶出するとすれば酸性となります。従って「アルカリ性食品によって・・・溶出するおそれがある」が誤りと考えられます。

ちなみに、銅の調理器具などのメッキ処理について、食品衛生法の規定の意図は、当時有害と考えられていた緑青の溶出を避けるためのものです。しかし現在、緑青が他の重金属と比較して特に有害であるということはないとされています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/10/dl/s1017-9c.pdf(薬事・食品衛生審議会 による解説)

以上より、①◯、②☓、③☓、④◯、⑤× です。

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