公務員試験 H29年 国家専門職(食品衛生監視員) No.6食品衛生学Ⅱ(2)解説

 問 題     

洗浄と殺菌に関する次の記述の Ⓐ~Ⓘ に当てはまるものを語群から選び出し、それぞれの番号を記せ。

「微生物による食中毒を防止するためには、衛生的で安全な食器具類や調理機器類を確保する必要があり、そのためには洗浄や殺菌が重要である。

洗浄とは、対象物の表面に付着する汚れや微生物を除去する処理で、対象物表面を湯や水で洗い流すことであるが、タンパク質やⒶ などの有機物は湯や水では除去できないことから、その除去の目的でⒷが使用されている。洗剤として用いられる主要なⒷ を、化学構造の違いで分類すると、石けんなどのⒸ や、ポリオキシエチレン系などのⒹ が挙げられる。

また、殺菌処理においては、アルコール、 Ⓔ 、 Ⓕ などが用いられる。アルコールは、殺菌効果を有するが濃度低下で殺菌効果が低下し、 Ⓖ には無効である。また、 Ⓔ は、 Ⓗ 領域での殺菌効果が高く、食器具類や調理機器類、壁などに広く使われ、ノロウイルスにも効果がある。食品製造ラインの代表的な洗浄方法として、製造ラインを分解することなく自動的に洗浄することができるⒾ が牛乳やビール製造業などで広く利用されている。

なお、食品取扱者の手洗いにおいては、手洗い後にエタノールやⒻ を使用することで、手指からの汚染除去効果は一層向上するが、普通石けんとⒻ を一緒に使用すると殺菌効果が低下するため、区別して使うことが必要である。」

<語群>①ミネラル、②油脂、③酸性、④アルカリ性、⑤ウイルス、⑥芽胞、⑦陰イオン系、⑧非イオン系、⑨陽イオン系、⑩界面活性剤、⑪酸性電解水、⑫逆性石けん、⑬オゾン、⑭次亜塩素酸ナトリウム、⑮CIP、⑯MAP、⑰HTST

 

 

 

 

 

 解 説     

タンパク質や油汚れを落とすために用いられるのは界面活性剤です。イオン系(陽イオン、陰イオン)、非イオン系に大別されます。それぞれの代表例は、石けん、ポリオキシエチレンなどです。

殺菌に用いられるのは、エタノール、次亜塩素酸、逆性石けんなどです。ただし芽胞には、エタノールや逆性石けんでは効果が期待できません。次亜塩素酸がやや有効である程度です。次亜塩素酸は、酸性領域で殺菌効果が高くなります。

石けんと逆性石けんは別物です。石けんは洗浄に、逆性石けんは殺菌に用います。また、併用すると殺菌効果が低下するので注意が必要です。

語群における略語ですが、CIP は、Cleaning In Place です。分解せずに洗浄する という意味です。分解しての洗浄は COP (Cleaning Out Place) です。MAP は、Modified Atmosphere Packaging です。密封パッケージ内ガス成分(CO2, O2, N2)を、任意にコントロールし、微生物の増殖を抑えて保存性を上げるパッケージのことです。HTST は、High Temperature Short Time の略です。高温短時間殺菌法の略です。牛乳等の殺菌方法の1つです。

以上より
A 油脂 ②
B 界面活性剤 ⑩
C 陰イオン系 ⑦
D 非イオン系 ⑧
E 次亜塩素酸ナトリウム ⑭
F 逆性石けん ⑫
G 芽胞 ⑥
H 酸性 ③
I CIP ⑮ です。

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