公務員試験 H29年 国家専門職(食品衛生監視員) No.2食品化学Ⅰ(2)解説

 問 題     

食肉の生化学的変化に関する記述 ①~⑤ について,妥当なものには ○ を,妥当でないものには × をそれぞれ記せ。

① 死後硬直とは,と畜直後の筋肉中で酵素の作用によりATP が分解され,ミオシンとアクチンが結合し,アクトミオシンが生成され,筋肉の硬直が起こることをいう。

② 筋肉中のグリコーゲンの分解で乳酸が蓄積するため,筋肉のpH は最終的に4 付近に到達するが,解糖系の酵素の一部が失活することでpH の低下が自動的に停止する。このときのpH を極限pH という。

③ 肉を低温で貯蔵しておくことで,種々の酵素によって筋肉中のATP からイノシン酸,イノシン酸からヒポキサンチンへと変化する。この過程を熟成という。

④ 肉の赤色は主にミオグロビンという色素タンパク質に由来し,牛肉や馬肉などの色の濃い肉に多く含まれる。ミオグロビンが酸素と結合してオキシミオグロビンとなり,肉色が鮮赤色となることをブルーミングという。

⑤ 肉色を鮮やかにするため,発色剤として硝酸塩が使用される。硝酸塩は硝酸還元菌によって亜硝酸塩に還元され,肉中の乳酸と反応して最終的には一酸化炭素に分解される。この過程をメト化という。

 

 

 

 

 

 解 説     

①は、妥当な記述です。

②ですが
最終的な筋肉の pH は、せいぜい 5.5~5.0 程度までです。その他の記述は正しいと思われます。

③は、妥当な記述です。

④は、妥当な記述です。

⑤ですが
硝酸塩なので、最終的には NO と H
2O すなわち、一酸化窒素と水 に分解されます。一酸化「炭素」ではありません。ちなみに、メト化とは、筋肉中の色素タンパク質であるミオグロビンの酸化です。このメト化を防ぐために発色剤は用いられます。

以上より、①◯、②☓、③○、④◯、⑤☓ です。

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