公務員試験 H29年 国家専門職(食品衛生監視員) No.1分析化学Ⅲ解説

 問 題     

ガスクロマトグラフィーに関する以下の問いに答えよ。
⑴ 吸着型と分配型のカラム充填剤による物質の分離原理と分析対象物質について,それぞれ2行程度で説明せよ。

⑵ カラムを変更せずに物質の分離に要する時間を短縮する手段を二つ挙げよ。

⑶ 検出器と被検出物質の組合せ ①~⑤ について,妥当なものには ○ を,妥当でないものには × をそれぞれ記せ。

検出器 被検出物質
① 電子捕獲検出器(ECD) 有機水銀
② 炎光光度検出器(FPD) 含イオウ化合物
③ 水素炎イオン化検出器(FID) 無機ガス
④ 熱伝導度検出器(TCD) 有機ハロゲン化合物
⑤ アルカリ熱イオン化検出器(FTD) 含リン化合物

 

 

 

 

 

 解 説     

解答例)
(1)
固定相に固体を用いるのが吸着型です。吸着は、固定相表面に物質が吸着することにより物質を分離します。分析対象物質は、溶媒に溶けにくい窒素、酸素などです。

固定相に液体を用いるのが分配型です。分配は、試料と固定相の2種類の溶媒への、溶質の分配係数の差を利用して物質を分離します。分析対象物質は容易に溶媒に溶かせるアルコール、アミンなどの有機物などです。

(2)
キャリヤーガスの流速を上げる、カラム温度を高くする といった方法があげられます。

(3)
③のみ☓です。他は妥当な組み合わせです。
水素炎イオン化検出器は、有機化合物に用いられる検出器です。

ちなみに
①のECD(Electron Capture Detector)は
電気陰性度の大きい原子を含む物質を検出することができます。水銀については、電気陰性度はそれほど高くないのですが、塩素化を行うことで、高感度、選択的に検出が行われます。
類題 他サイトですが H28-11

②のFPD(Flame Photometric Detector)は
S,P含有化合物に対し高感度な検出器です。

④のTCD(Thermal Conductivity Detector)は
キャリアガスと熱伝導率が異なれば何でも検出可能です。

⑤のFTD(Flame Thermionic Detector)は
N,P含有有機化合物の検出に用いられます。

コメント