H28年 水質有害物質特論 問11 問題と解説

ガスクロマトグラフ法のカラム及び検出器に関する次の記述に該当する組合せとして、適切なものはどれか。

(ア) 内径0.1~1.2mm、長さ5~100m程度の金属、石英ガラスなどの管壁に、膜厚0.05~20μm程度の固定相液体等を固定化し、中空構造になっているカラム

(イ) アルキル水銀、塩素化炭化水素等の検定に用いられる検出器で、放射性同位元素を使用するものは法律に従って、文部科学省に届け出て許可を受けなければならない検出器

   (ア)        (イ)

  1. 充塡カラム      ECD
  2. 充塡カラム      FID
  3. 充塡カラム      FPD
  4. キャピラリーカラム  FID
  5. キャピラリーカラム  ECD

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

この問題では、(ア)についてはややマイナーな出題ですが、(イ)は重要事項なのでぜひ押さえておきたいところです。

(ア)はマイナーな知識なので正確に覚えておく必要はないと思いますが、充塡カラムとキャピラリーカラムの区別だけなら比較的簡単です(カラムは主にこの2種類のみです)。

充塡カラムはその名の通り充塡剤が詰まっているので、問題文にある「中空構造」とは合致しません。一方、キャピラリーカラムの「キャピラリー」は毛細管のことなので、中空構造になっています。よって、(ア)には「キャピラリーカラム」が入ることがわかります。

内径や長さや膜厚は問題文の通りですが、これらの数値を覚える必要はなく、充塡or中空で判断できればよいと思います。

(イ)に関して、覚えておきたい検出器と検出できる対象物質は、以下の5種類です。

  • 熱伝導度検出器(TCD):大体何でも検出可能(ただし、感度はほかの検出器よりも低め)
  • 水素炎イオン化検出器(FID):普通の(塩素を含まない)有機化合物(例:ベンゼン)
  • 電子捕獲検出器(ECD):アルキル水銀、塩素化炭化水素(塩素以外のハロゲンでも可)
  • 炎光光度検出器(FPD):硫黄化合物、りん化合物
  • 熱イオン化検出器(TID):窒素化合物、りん化合物

よって、今回の問題ではアルキル水銀、塩素化炭化水素を検出できる「ECD」が正解となります。

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