公害防止管理者試験 おすすめの参考書

はじめに

公害防止管理者試験に関する本は様々な種類が出版されていますが、Amazonや楽天で見てもレビュー数が少ないため、その評価を参考にしてよいかどうか判断しかねるかと思います。

そこで、当サイトの管理人目線から各種の参考書・問題集の特徴や使い勝手をレビューしましたので、書籍選びにお悩みの方はぜひ参考にしてください。

総評

結論から云えば、試験問題を作成している産業環境管理協会が出している以下の3冊を買い揃えるのがベストです。

  • 公式テキスト「新・公害防止の技術と法規」
  • 公式参考書「図解 公害防止管理者 国家試験合格 基礎講座」
  • 公式過去問集「公害防止管理者等国家試験 正解とヒント」

…とはいえ、勉強スタイルや習熟度、予算の都合などによっても使うべきものが異なると思いますので、上記に加えてほかの書籍についても広く紹介していきます。

書籍のレビュー

新・公害防止の技術と法規

これは試験問題を作成している産業環境管理協会から出ている、いわゆる公式テキストという位置づけです。試験問題の答えはほぼ全てこの本に書かれているため、もし試験中にこの本を読めれば結構簡単に100点が取れます(もちろん試験中に読むのは禁止です)。

…というわけで可能ならば全受験生に持っていて欲しい本ですが、唯一の難点が、その価格が1万円近くするという点です。ただし、1万円を惜しんだせいで試験に失敗して受験料や勉強時間を無駄にするくらいなら、一発合格のためには有意義な投資だと個人的には思います。

この本は1商品で3冊セットになっていて、大気用であれば「公害総論+大気概論+技術編(大気特論、ばいじん・粉じん特論、大気有害物質特論、大規模大気特論)」の3冊、水質用であれば「公害総論+水質概論+技術編(汚水処理特論、水質有害物質特論、大規模水質特論)」の3冊で構成されます。

ページ数も内容的にも相当なボリュームがあるので、これを隅から隅までしっかり読み込むのは現実的ではありませんし、また、その必要もありません。ほかの参考書や過去問を使って勉強する中で、わかりにくいところや引っ掛かるところがあったら、この本で調べる…といった、辞書的な使い方をするのが上手な活用方法だと思います。

この本がなくてもネットで調べれば充分だという考え方もありますが、実際にやってみると、ピンポイントな情報を見つけるのに時間が掛かることも多く、結局見つからなかったということさえあります。その点、この本は試験問題を作成している協会が出版しているので、まず間違いなく欲しい情報が見つかります。

その上、この本に書かれている説明文がそのまま問題文として使われることも多いので、出題に直結する文章が事前に読めるという、かなり有利な立場を得ることができます。

  • 公式テキストなので、試験問題はここから出題される
  • 問題集や参考書の補助的な役割を担う、最高の辞書
  • 値段が高い(でもその価値はあると思う)

図解 公害防止管理者 国家試験合格 基礎講座

これも試験問題を作成している産業環境管理協会から出ている本で、いわゆる公式参考書という位置づけです。上記で紹介した公式テキストから要点を抽出して、簡単にまとめたような構成となっています。

重要事項だけをまとめているので情報量は少なめですが、無駄がないです。さすが公式参考書。試験合格のために覚えておきたい重要事項の多くがこの一冊に書かれているため、試験勉強を始める最初の一冊として最良の選択肢だといえます。

この参考書で学びながら過去問を使ってしっかり演習すれば、それだけで合格ラインに乗せることも可能です。ただし、本のタイトルに「基礎講座」と付いている通り、難問に対応できるほどの情報量ではないので、自信を持って試験に望みたい人、暗記に頼らず根拠や導出過程をしっかり理解したい人は、上で紹介した公式テキストも併せて備えておきたいところです。

  • 公式参考書なので、記載内容と出題傾向がマッチしている
  • 重要事項が良くまとまっていて、基礎固めに最適
  • 試験勉強の最初の一冊として、とてもオススメ!
  • 良くまとまっている反面、根拠や導出過程の説明がやや少なめ
  • 基礎的な内容が多く、難問に対応できる応用力までは身につきにくい

公害防止管理者等国家試験 正解とヒント

これも試験問題を作成している産業環境管理協会から出ている本で、いわゆる公式過去問集という位置づけです。過去問集を買うなら、個人的にはこれ一択。ほかの様々な出版社から発売されている過去問集よりも、使いやすさ・解説の質ともに優れている印象です。この本と当サイトの過去問解説の2つを組み合わせて使うことで、効果的な試験対策になるはずです。

この本は1問あたり1〜3ページ程度を使っています。他社の過去問では数行でさらっと解説されている問題でも、最低1ページ分を使って丁寧に解説しているのが特徴的です。

公害防止管理者試験は各科目60点を取れれば合格できるので、難問を攻略する力があるかどうかよりも、むしろ基礎力を備えているかどうかが合否を分ける鍵となります。この本では難易度が低めの問題についても詳細な解説が載っているので、基礎力を育てるのに向いています。

一方で、難易度の高い問題については3ページくらい掛けてじっくり解説しているので、100点を狙うような受験生にとっても有益な一冊となっています。

もしこの本で書かれている解説でも理解しにくい場合、当サイトの解説と併せて読むことで理解が深まると思います。特に計算問題などはこの本と当サイトで解法のアプローチが異なることもあるので、両方に目を通すことが参考になると思います。

  • 他社の過去問集に比べて、解説が丁寧
  • 特に、基礎的な内容を省略せずきちんと扱っているところが良い
  • 直近5年分しか掲載されていない(他社の過去問集も大差ないので、それ以前の分は当サイトをお使いください)

公害防止管理者等国家試験問題 徹底攻略受験科目別問題集

これも試験問題を作成している産業環境管理協会から出ている本です。ただし、上記で紹介した3冊は強くオススメしますが、このシリーズは必須アイテムではありません。

このシリーズの最大の特徴は、公害総論や汚水処理特論といった科目それぞれが分冊で販売されていることです。本の構成としては、演習がメインである一方で要点の説明もきちんと書かれているので、参考書としても問題集としても使えます。

1冊分たっぷり使って1科目を解説しているので、さすがに解説は丁寧です。また、試験機関から出版されているため、出題傾向のツボもしっかり突いているように思えます。

とはいえ、このシリーズを5冊も6冊も買うのは経済的にも労力的にも優しくないので、これから初めて試験を受ける人にはオススメしません。

一方で、すでに受験して科目合格の権利を持っている人があと1科目か2科目で合格できるという状態なら、この本を使うのも手です。科目合格を無駄にしないためにも、この本で集中的に勉強して、取りこぼした科目の合格を目指すとよいと思います。

  • 試験機関から出ている本なので、記載内容と出題傾向がマッチしている
  • 科目ごとに分冊なので、その科目について深く学べる
  • 科目合格者が残り1,2科目のために使うのがオススメ
  • 科目合格者以外の人にとっては、非効率的・非経済的

公害防止管理者になるための化学の基礎知識

この試験では大気でも水質でも計算問題がたびたび出題されますが、この手の問題が苦手な人にとっては、この本がオススメです。

この本は、公害防止管理者試験に必要な数学や化学について体系的に解説されていて、計算問題でしっかり得点する実力を身につけることができます。指数対数を使った溶解度積、化学反応式を使った燃焼計算などに不安のある人は、ぜひ手に取ってほしい一冊です。

ただし、試験合格に必要な数学力・化学力を身につけるために特化した本なので、これ一冊で試験に合格できるといった類の本ではありません。知識問題は別の手段で対策する必要があります。

なお、この本は大気と水質の両方が網羅されているので、どちらの受験者でも同じように使うことができます。どちらも身につけるべき数学・化学の知識は共通している事項が多いのですが、明らかに大気でしか使わない部分(またはその反対)は、読み飛ばして構わないと思います。

この本には「入門編」と「実践編」という2冊がありますが、入門編は試験のレベルに届いていません。また、入門編に書かれていることが大体実践編にも載っているので、計算問題に余程の抵抗がある場合を除き、買うなら実践編だけで充分です。

  • 公害防止管理者試験に関連する数学・化学を、体系的に学ぶことができる
  • 計算問題が苦手な人には強くオススメできる良書
  • 入門編と実践編があるが、内容に重複も多いので、実践編だけで充分
  • 高校1・2年レベルの数学・化学に自信があれば、この本は必要ない

公害防止管理者 完全合格教本

この本は、試験に合格するために必要な重要知識がしっかりまとまっている参考書です。要点が適切に抑えられていて、その上、最重要事項が強調されているので、過去問研究などを自分でしなくても、覚えるべき点がはっきりとわかります。

この本だけを見れば良書だといえますが、その構成や特徴が試験機関から出版されている「図解 公害防止管理者 国家試験合格 基礎講座」に近いため、だったらそちらを使えばよいのではないか…と思ってしまうのが本音です。

  • 重要事項が良くまとまっている良書
  • 公式参考書と似た作りなので、やるならそちらを選びたくなる

公害防止管理者 要点ポイント

公式参考書である「図解 公害防止管理者 国家試験合格 基礎講座」と似た構成の参考書ですが、こちらは要点をさらに限定して分量を絞っています。最重要事項だけが厳選されているので、効率的に得点アップを狙うことができます。一方で、カバーしきれていない部分が多いのも事実です。

一長一短の参考書ですが、試験本番までに充分な勉強時間がなく、突貫工事でもいいから何とか間に合わせたいという人には向いていると思います。

  • 重要事項の中でも大事な、最重要事項に絞って扱っている
  • 時間のない人が全範囲をざっと学ぶのには有用
  • 情報量が少なく、出題傾向を網羅しているとは言い難い
  • 試験対策にある程度の時間を費やせるなら、別の本を使ったほうが無難

公害防止管理者試験 攻略問題集

この本は、直近6年分の過去問をテーマごとに並び替えた構成の問題集です。

解説文が一定のテンションで書かれているため、どうも淡白気味に感じられてしまい、どれが重要であり、どれがそうでもないかの区別が付きにくいのが難点です。

また、解説文にはしばしば「図○○参照」や「表△△参照」といった記述が出てきますが、その図表が同じページや前後のページに載っていないことが多く、ときにはかなり離れたところに記載されています。図の番号だけ示されてページ数が書かれていないので、図を探すのに毎回余計な時間が掛かってしまうのもストレスです。

以上のことから、過去問を使って演習したいのであれば、公式の過去問集である「公害防止管理者等国家試験 正解とヒント」のほうが、使いやすさ・解説の質ともに優れていると思います。

ただし、この本は過去問が年度ごとではなくテーマごとに並んでいるため、苦手分野が明確である場合には、それを集中的に演習できるというメリットがあります。

  • 過去問がテーマ別に並んでいるので、特定の分野を集中的に演習できる
  • 解説にメリハリがなく、要点がわかりにくい
  • 解説の質や使いやすさは、公式の過去問集のほうが上

公害防止管理者 超速マスター

この本は参考書と問題集がセットになったような構成です。

参考書としては、要点がよくまとまっていて読みやすいです。ただし、情報量はやや少なめであることが気になります。

問題集としては、チャレンジ問題という演習に結構なページを割いているものの、難易度は過去問レベルに全然届かないものが多いです。その上、解説があっさりしているので、これを使って演習しても合格ラインに達するのは難しいと思われます。

以上のことから、公害防止管理の仕事に携わっていない人が公害防止管理者試験を受けるのであれば、最初の一冊にしてもよいかもしれません。しかし、それ以外の方にはあまりオススメしたい参考書ではありません。

  • とにかく易しくて読みやすいので、専門外の人には導入の一冊として使えるかも
  • 難易度が低いので、これだけでは到底、合格ラインに届かない
  • 仕事や学校で少しでも公害防止管理を学んでいる人なら、別の本を使ったほうが無難

公害防止管理者試験 合格テキスト

多くもなく少なくもない、ちょうど良い情報量を持つ参考書です。特に重要な事項については強調して示されているので、何を覚えるべきか明確なのも良い点といえます。

しかし、重要単語や文章の強調があって良いのは部分的な話であり、全体的な構成としては、まとまりがなく雑然とした印象を与えています。つまり、やや読みにくいです。

試験機関から出版されている「図解 公害防止管理者 国家試験合格 基礎講座」と同等の情報量なので、それなら公式である安心感や本の見やすさという点からも、そちらを使ったほうが望ましいと思います。

  • 重要事項が強調されていてわかりやすい
  • まとまりがなく雑然としていて、読みづらい
  • 公式参考書と似た作りなので、やるならそちらを選ぶべき

その他のレビュー

電卓 シャープ EL-VN82

番外編で、おすすめの電卓の紹介です。

この試験では主に四則演算をするために電卓を用いることができます。ただし、関数電卓を使用することは認められていません。もちろん、スマホの電卓機能もNGです。

そんなに複雑な計算は要求されないので、手元に電卓があるならそれを使えばよいと思います。しかし、もし手元になくて買おうという場合には、せっかくなので使いやすいものを選んでください。

当サイトの管理人が使っているものはシャープの「EL-VN82」という型番の電卓です。色の種類はゴールド・ブルー・ブラウン・ピンクの4色があります。

この電卓は押したときの反応が早く、素早く入力してもきちんと認識されるので気に入っています。11cm×18cmと大きめの電卓なので、数字も打ちやすいです。

また、「→」ボタンが優秀です。これは打ち間違えたときに1字戻るボタン(パソコンでいうBack Space)です。これがないと、打ちミスのたびに最初から入力し直すことになってしまうので、この機能は個人的にはかなり大事だと思っています。

それと、慣れてくると「00」ボタンが便利です。「0」を2回押すのと全く同じことですが、「0」を連打するより打ち間違えるリスクが減ります。ちなみに、この試験ではkgをmg換算したり、m3をL換算したりして計算することがあるので、0がたくさん並ぶ機会は結構多いです。

  • 素早く押してもしっかり反応する
  • サイズが大きめなので打ちやすい
  • 「→」ボタンにより、打ちミスしても1字ずつ消せる
  • 「00」ボタンが意外と活躍する
  • サイズが大きいので、持ち運びがやや不便(でも入力ミスが減るメリットのほうが大きい)

電子書籍リーダー Kindle Scribe

参考書の中には電子書籍(Kindle版)として提供されているものもあり、それらはKindleアプリをダウンロードすればどのスマートフォン・タブレットでも利用することができます。

しかし、せっかくなら勉強するのに向いている端末を使ったほうが学習効率を高めることができると思うので、当サイトの管理人が使用している「Kindle Scribe(キンドル スクライブ)」を紹介します。

この端末は10.2インチの電子書籍リーダーで、最大の特徴は本物の紙のように読み書きできることです。ペンを使った手書きの付箋機能に対応していて、気になった点をメモしたり解説を追記したりできます。

例えば、過去問題集などの演習をこの端末を使って解く際には、

  1. 自力で解けなかった問題に「×」マークや解法に関する簡単なメモを残す
  2. 別の機会に付箋のあるところだけ見返して解き直す
  3. その問題の解法を理解できていれば付箋をはがす

…といった使い方ができます。もちろん、そのほかにも様々な活用法が考えられるので、ご自分に合った方法で勉強に活かしてもらいたいと思います。

また、この端末はKindleの電子書籍以外にも、PDFやMicrosoft Wordなどを取り込んでメモを書き込むことができます。さらに、メモ込みでエクスポートすることもできるので、使い慣れてきたら汎用性の高い便利な端末だと実感しています。

  • 手書きの付箋機能が秀逸(見返すときも便利)
  • ペンの使用感(手書きの反応性)が良く、ストレスを感じない
  • Kindle版以外にPDF・Wordなども使用可
  • 値段が高い(でもその価値はあると思う)
  • 一部の電子書籍は手書き入力機能に対応していない