公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.34解説

 問 題     

植物ホルモンに関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.頂芽が光の方向に曲がるのは,頂端部から,光の当たる側にオーキシンが多く移動して,細胞の伸長を促進するためである。また,盛んに成長している頂芽を切り取ると,側芽は成長を始める。これは,切り口でオーキシン濃度が高まり,側芽へオーキシンが移動するようになるためである。

2.果実の成熟がエチレンによって促進されるバナナ,イチゴなどの植物と,促進されないリンゴ,ブドウなどの植物がある。多くの植物の開花はエチレンによって促進されるが,パイナップルなどでは,開花が抑制される。

3.ジベレリンは,イネばか苗病菌の培養液から,イネの成長を促進する物質として発見された。主な生理作用は,茎の成長促進のほか,種子休眠の形成・維持や花芽の形成などであり,キュウリでは,雌花の数を増加させる。

4.アブシシン酸は,ワタの葉と果実の器官脱離を促進する物質として発見された。アブシシン酸には,器官脱離を促進する作用のほか,種子休眠を打破する作用や,カリウムイオンの細胞内への取り込みを促進し,気孔を開く作用などがある。

5.ブラシノステロイドは,アブラナの花粉から,インゲンマメの茎の成長を促進する物質として発見された。主な生理作用は,茎の成長促進のほか,維管束の発達促進,花粉管の成長促進などである。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
「光と反対側」にオーキシンが移動→反対側が伸長して光の方へ曲がる です。また「切り口でオーキシン濃度が高まる」わけではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
リンゴは促進されます。また、パイナップルの開花は促進されます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
キュウリにジベレリン処理で、雌花の数が「抑制」されます。ジベレリンは「オス化」促進です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
アブシジン酸は、「終わりにする、眠る」イメージのホルモンです。休眠作用、カリウムイオン「排出」による気孔の閉鎖作用などがあります。また、「休眠打破」ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

以上より、1~4誤りなので、正解は 5 です。

コメント