公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.33解説

 問 題     

作物の高温・低温などに対する反応に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.細胞内の膜脂質の脂肪酸組成が,低温耐性に関与する。不飽和脂肪酸の減少は低温ストレスに対する耐性を高めるとともに,乾燥耐性も高めることが知られている。

2.低温条件下で発現が誘導される遺伝子として,GBSS 遺伝子が単離・同定されている。また,凍結耐性向上に関わる遺伝子として,uzu 遺伝子が単離・同定されている。

3.植物の熱ショックタンパク質(HSP)は,一時的な高温ストレスでは生じないが,長期に高温に遭遇すると生成される。HSP は,いったん生成されると長期間にわたり作用する。

4.植物が低温に遭遇すると,糖類含量が増加するほか,プロリンやグリシンベタインのような凍結防止能を持つ物質が蓄積して,凍結耐性を獲得することが知られている。

5.HSP は,熱ストレスにより生じた異常タンパク質の凝集を防ぐPR タンパク質としての機能を持つ。HSP には,HSP10,HSP20 の全2 種類がある。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
低温で不飽和脂肪酸を「増加」させます。減少ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
uzu は「オオムギの半矮性遺伝子」です。凍結性向上遺伝子ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。H27no22

選択肢 3 ですが
一時的な高温ストレスでも生じます。HSP はずっと存在しているものや、調節を受けて量が急増→急減するものなど様々です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
熱ショックタンパク質は、分子量によりサブタイプに分類されていて、Hsp60,70,90 などがあります。全2種類ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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