問 題
窒素の施肥に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.植物は生育に窒素を必要としており,窒素の施肥量を増やすにつれて,単位施肥量当たりの増収分は次第に大きくなる。しかし,窒素施肥が最適量を超すと,作物は養分を吸収できなくなり枯死する。これを収量漸減の法則という。
2.土壌中での無機態窒素は,ほとんどが硝酸態で存在している。有機態窒素であっても土壌微生物の作用で気体の窒素を経て,硝酸態窒素まで速やかに変化する。硝酸態窒素は土壌に強く吸着するため,地下浸透し,地下水に流出することはない。
3.硫酸アンモニアは,化学的にアルカリ性で,窒素の吸収とともに土壌に残る硫酸根や硝化作用に伴って生成する硝酸イオンのため,土壌を酸性にしやすい生理的酸性肥料である。酸性条件の水田では,鉄が不足すると二酸化炭素が発生し,根腐れの原因となる。
4.尿素は,随伴イオンを含まない生理的中性肥料であり,吸湿性は低く,水に溶けにくい。害虫駆除作用が期待できるため,主として果樹栽培などにおいて,葉面散布用肥料としても利用されている。
5.有機物の土壌中での分解速度は,主にC/N 比で決まる。C/N 比が10 より低い有機物では,無機態窒素が速やかに放出され,窒素的肥効が大きい。一方,C/N 比が高い稲わらなどを施用すると,窒素飢餓を起こす場合がある。
解 説
選択肢 1 ですが
収量漸減の法則とは、収量の増加が施肥量の増加に伴わなず、次第に少なくなることです。「養分を吸収できなくなり枯死すること」ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。参考)H26no32
選択肢 2 ですが
「有機態窒素」とは、有機物に含まれる窒素のことです。微生物によって分解されます。この際「気体の窒素を経」るわけではありません。また、「硝酸態窒素」は浸透により流出します。よって、選択肢 2 は誤りです。参考)H26no31
選択肢 3 ですが、硝酸アンモニアは「硝酸=強酸 と アンモニア=弱塩基」によってできた塩なので「弱酸性」です。アルカリ性ではありません。後半部分ですが、鉄が不足→二酸化炭素発生→根腐れの原因というつながりが、それぞれ妥当ではないと考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが、尿素は(名前からもなんとなく推測できますが)水によく溶けます。よって、選択肢 4 は誤りです。ちなみに、土壌にも葉面にも用いられます。
以上より、1~4誤りなので、正解は 5 です。参考)H27no3 「C/N比」
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