公務員試験 H26年 国家一般職(農学) No.32解説

 問 題     

施肥量の算出や施肥などに関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 19世紀にリービッヒによって提唱された収量漸減の法則によれば、植物の生育収量は供給される各種養分のうち最大量の養分によって支配され、それに続く量の養分もその量に応じた影響を与える。

2. 目標収量の達成のために作物へ供給しなければならない窒素量は、作物が実際に吸収する窒素量に土壌本来の供給量や灌漑水による供給量を加えて求められる。こうして求めたものが一作の間に施用すべき窒素肥料の総量となる。

3. 播種や移植の前に土壌に施用する肥料を基肥という。水田における施肥法として一般に窒素やリン酸については全量を基肥で与えることは少なく、生育途中で生育ステージに合わせて施用する。これを追肥といい一般に作土深層に何回かに分けて分施する。

4. 適切な施肥量は土壌診断と植物栄養診断によって決めることができる。土壌診断は一般に,前作収穫後に土壌を採取分析して行われる。一方植物栄養診断は、植物体の外観の観察植物体の採取分析葉緑素計などを用いた非破壊計測などにより生育途中に行われる。

5. 肥効発現の持続時間をコントロールするために、肥料粒の表面を金属の被膜で覆ったものを被覆肥料といい、肥効調節型肥料の最も代表的なものといえる。利点として一作分の成分を基肥として施用することによる追肥作業の省力化が挙げられるが肥料の利用効率は低い。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
収量漸減の法則とは、投入 される養分の単位量当たりの増加に伴う収量の増加分が次第に減少し、ある時点で養分を いくら投入しても収量が増えない現象です。ドイツの化学者ミッチェルリ ッヒが発表しました。リービッヒは養分償還の法則です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
作物の吸収する窒素量から、供給量を「引いた」量が、補充すべき量と考えられます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
水田では、水管理によってミネラルを調整しており「追肥を生育ステージに分けて、一般に何回か分施する」という記述は妥当ではないと考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
被覆肥料の肥料利用効率は大きいと考えられます。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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