公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.15解説

 問 題     

我が国における野菜の品種群に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.トマトは,生食用トマトと加工用トマトに分けられる。生食用トマトは昭和初期には赤色系品種を中心とした育種が行われ,現在普及しているものも赤色系品種がほとんどである。生食用トマトの草姿は心止まり型である。一方,加工用トマトの草姿は,非心止まり型である。

2.冬系キャベツは,サワー系とも呼ばれ,葉面が波打ち柔らかく,巻きは緩いため,サラダなどに向く。グリーンボールは,葉面は平滑で硬く,巻きが強いため,業務用の刻みキャベツや加熱調理に適している。

3.ピーマンには,在来品種のシシトウガラシ,主流のピーマンである薄肉中果種,明治以後に米国から導入された厚肉大果種(ラージベル型)などがある。厚肉大果種を中心に,赤や黄などカラフルで,苦味が少なく,甘味が強い成熟果での利用も行われている。

4.東洋系ホウレンソウは,葉が厚く切れ込みが少ない丸葉であり,一般に晩抽性なので春~夏播用である。西洋系ホウレンソウは,葉が薄く切れ込みが深く,根部の赤色が強い。一般に抽だいが早いので秋播用である。寒締めホウレンソウには,西洋系ホウレンソウが使用される。

5.ネギの千住群は,北海道や東北などのような積雪量の多いところに適しており,根深ネギ用の品種群である。加賀群は,葉ネギ用の品種群である。ネギは低温により休眠する冬ネギ型と,休眠しない夏ネギ型があり,千住群は夏ネギ型,加賀群は冬ネギ型である。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
日本で本試験時普及しているのは「ピンク系」と考えられます。赤色系も少しずつ増えてきています。ちなみに、心止まりとは、主枝に着果すると成長が止まり、そのすぐ下の枝が主枝になりかわることです。一般に本試験時、生食用トマトは非心止まり型、加工用トマトは心止まり型です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
サワー系は春キャベツです。冬系ではありません。冬系といえば「寒玉」などです。よって選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
東洋系が「葉の切れ込みが深い」、西洋系が「葉に丸みがあり、厚い」です。東洋系が秋播き、西洋系が春~夏播に適します。寒じめとは、寒い時期を経験することで甘みを増すことです。「東洋系」が使用されます。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
千住群は「関東」で成立した品種群です。また、葉ネギ用は「九条群」です。また、冬に休眠するのは「夏ネギ型」です。夏ネギ型は「加賀群」です。休眠しないのが「冬ネギ型」です。千住群、九条群が対応します。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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